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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
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連邦情報局13課

 テレビを消し、ルーシとタイラーは顔を合わせる。


 ルーシは含み笑いした。「見ろよ、あのマス〝ゴミ〟ども。度肝抜かれたに違いない」

 タイラーも同じような表情だった。「市民たちの支持率も跳ね上がるだろうな。祝砲を撃ちてぇくらいだぜ!!」


 これで、クールの権威は再び高まる。あともう一押しすれば、また支持率90パーセント超えの大統領が帰ってくるであろう。


 ただ、それが反映されるのは少し先でもある。なら、ここで突っ切るくらいの勢いでエドモン・ダルジャンを利用させてもらおう。



 連邦情報局13課。市民たちには公にされていない、秘密機関。その役割は、表沙汰にできない〝尋問〟を行うことだ。

 エドモン・ダルジャンは、直ちに身柄を13課に送られた。


「さぁーて、皇帝陛下。もうナラティブはできている。自白書にサイン願おうか」


 魔力の流れを遮断する〝魔断石〟をつけられているため、エドモンは椅子から転げ落ちそうになった。


 瞬間、エドモンの首は縄かなにかで締め付けられた。


「ゴホッ!! グハァ!?」

「お目覚めのようだ」


 中年の職員は、縄を解くようにジェスチャーする。


「貴様ら!! 私を誰だと思っているのだ!?」

「ロスト・エンジェルス全市民の敵だよ。あぁ、この物語が気に食わないと? なら、しっかり自白してもらいましょうか……!!」


 3日3晩続いた〝尋問〟の末、エドモン・ダルジャンはしっかり〝供述〟した。彼は飛び出た右目玉を指差し、「なぜこんなひどいことができる?」と監視員に呟いたという。


 *


 大統領執務室、白い部屋にはロスト・エンジェルス建国の父〝アーサー〟の銅像だったり、歴代の名指導者の壁画だったりが設置されている。

 そんなどこか落ち着かない部屋に、誰かが入ってきた。


「──このような供述となります。反連邦テロリスト、エウロパ大陸における人道に対する罪、及び平和に対する罪」


 クール・レイノルズは、13課の課長より報告を受け取っていた。彼は退屈そうに座り爪を切りながら、答える。


「おぉ、ご苦労。あとは起訴するだけだな」

「しかし、大統領。尋問の所為でヤツの指は3本消え、歯が13本。目の玉が飛び出ており、その他外傷だらけです。〝SHA〟を打つことで無理やりもたせていますが」

「見せしめ裁判は無理だな。さて、どうしたものか」


 爪を切り終わり、クールは課長に向き直す。


「まぁ良いか。処理はそちらに任す」


 たいした価値も見込めないので、クールは血しぶきが制服にこびりついている課長を退けさせた。


 すると、ルーシが現れた。神出鬼没の幼女である。


「どうした?」

「暇なのだよ、クールお父様」

「そりゃあ、大統領府から出なければ暇だろうな。いつからオマエ、引きこもり気質になったんだ?」

「昔からたまにある。ひとりでひたすら考えたいときが」

「そうかよ。答えは浮かんだか?」

「いや、決まらない。こういうときは、連中に会いに行くべきかもな」

「メイド・イン・ヘブン学園の友だち? 連絡先分かるのかよ」

「キャメルお姉ちゃんの連絡先は分かるだろ。お姉ちゃん、今頃驚いているだろうな」


 ルーシは無邪気な笑みを見せる。いつもの態度とのギャップが凄まじい。クールは怪訝な顔になりながら、自身の妹キャメル・レイノルズの連絡先を彼女のスマホへ送る。


「よし。んじゃ、執務頑張れよー。大統領閣下」


 ルーシは執務室から去っていった。

 クールは首をかしげる。


「アイツ、あんな表情できるんだな」


 ひどい言葉だが、思ったことを率直に言っただけだ。


 ルーシはキャメルへ電話をかけた。


『どなたですか?』

 優しげな声で囁く。「お姉ちゃん、ついに帰ってきましたよ」

『え? どなたですか』

「……、」ルーシは怪訝な表情になる。「キャメルお姉ちゃんはくだらないジョークを言わないと思っているので、名前言いますよ。ルーシです」


 電話先の声はしばし止まっていた。やがて、申し訳無さそうに声を潜めながら、


『……、すみません。記憶喪失なんです』


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