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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
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エドモン・ダルジャンの逮捕

「うわ、うわ、うわぁ!? なんでプラズマが起きてるんですか!?」


 コミカルに驚きながら、タイラーという紫髪に緑の目をした〝スライム娘が走っていた。


 それでも現状を直ちに理解したのか、彼女は腕を風船のように膨らませ、風の塊に干渉する。数百メートルにも及ぶ硬化されたスライムの巨大な拳が、地面より生えた。それが圧縮された空気の流れを変える。


 そして、プラズマは強制的に分離され、首都ダウンタウン壊滅の危機は脱した。


「はーッ、危ねぇ」


 タイラーは一息つき、そのまますっかり干ばつでも起きたように荒れ果てた、大統領府の園庭

 へ入る。


「大統領、なにしてたんすか」


 空中より大統領クール・レイノルズと、銀髪のロングヘアの幼女が降りてくる。果たしてタイラーの声が聞こえているのだろうか。


 という心配はいらなかった。クールは彼らしい陽気な口調で話しかけてくる。


「おー、タイラー中佐。見りゃ分かるだろ」

「いや、分かんないです」

「エドモン・ダルジャン、といえば分かるか?」

「ガリアの武人皇帝のひとりですか?」

 銀髪の幼女が眉をひそめる。「武人皇帝のひとり?」

「え、知らないの。ルーシ……ルーシ!? なんでオマエ生きてるんだ!?」

「オマエもニュース見ない派なのか? ゲルマニアから泳いで帰ってきたんだよ」


 ルーシとタイラー。実のところ、赤の他人というわけでもない。危ない橋を渡りまくっていたルーシは、タイラーに命を救われたこともある。


 さらにいえば、タイラーとルーシは転生者という共通点を持つ。なので、親近感のようなものも湧く。


「へーっ、すげぇじゃん。ゲルマニアからロスト・エンジェルスまで、よくブリタニカやガリアの艦隊とかに見つかんなかったな」

 ルーシは珍しくヒトを訝るような目で見る。「疑うくせを持ったほうが良いぞ……」

「んで、エドモンがどうかしたんですか? 大統領」

「あの野郎、単身でロスト・エンジェルスへ突っ込んできた。近くに転がってるはずだ」

「ヤバ! 頭イカレちまったんですかね?」

「いやぁ……」クールは目を細める。「追い詰められた末、我が国へ挑んできたように思えるな。他の武人皇帝に圧されてたのかもしれん」

 ルーシが手を上げた。「とりあえず、回収してくる」


 弱い魔力の反応がある。大統領府庭園の奥深くに、エドモンはいた。


「生きているか?」


 遊ばれて壊された人体模型のように、エドモンは息を吸って吐くだけ。ルーシは乱暴に彼の足を掴み、クールたちの元へ連れて行く。


「ほらよ」

「うわ、本当にエドモンだ」

「この野郎、まだ死んでいないんだな」ルーシは手を離し、ドサッと彼を地面に置く。「ただ意識はない。ちょうど良い。愚民どものガス抜きに使おう」


 クールは、サディスティックな笑みを浮かべて答える。


「そうしようか。きょうの午後から緊急放送を流そう」


 とりあえず、一件が片付いたのだった。


 *


 ルーシとタイラーは、大統領府の客室でテレビを眺めていた。

 11時55分、国営放送は普段のニュースを一旦取りやめる。


『午後12時より、クール・レイノルズ大統領が緊急会見を行います』


 ロスト・エンジェルスの国歌が流れる。


『親愛なる市民の皆様、上院下院の同志の皆様。30秒だけ耳を傾けてほしい。端的に言おう。ガリア地域における武人皇帝エドモン・ダルジャンを捕らえた。繰り返す。武人皇帝エドモン・ダルジャンは、愚かにも我が国へ単身侵攻してきたが、我々の力によって逮捕することに成功した。以上だ』


 記者たちは騒然となった。全く知らせていなかったようだ。クールらしいといえば、彼らしいやり方である。


『それでは、ドキドキワクワク質問コーナーに入ります』


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