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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
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〝幼女〟ルーシVS〝武人皇帝〟エドモン

 ルーシは翼を器用に動かし、エドモンを突き刺そうとする。

 エドモンはそれを軽く回避する。空中で、重力がないかのごとく。


 ルーシとエドモンの対決が始まった。互いに手札を知らない者同士だが、最初から出し惜しみはない。


「なるほど、これがスオミ・アウローラを倒したという能力か。だが、まだなにか隠し持っているな?」

「教えるほど甘くねェよ、私は」

「なら、当てようではないか」


 小男で今ひとつ覇気を感じられなかったエドモンは、突然神秘的なオーラを身に纏い始めた。まるで聖人のように、あるいは神のように。

 黙ってパワーアップを見逃すわけもなく、ルーシは羽で攻撃を仕掛けようとする。しかし、羽はオーラにふれる寸のところで消え去ってしまった。


「貴様は、この世界ではありえない法則を操っている」


 ルーシは顔を強張らせる。

 エドモンは、狼との獣人に近いものになった。巨大な犬歯が生えて、身長が3メートルほどまで伸びる。


「しかしそれはあくまでも、異なる世界の理を、この世界で再現しようとしているに過ぎない」


 エドモンの言葉に、ルーシは思わず笑みを漏らす。


「へェ……。そりゃあ、本質をついているな」

「そして、その変換には必ずほころびがある。たとえば──」

「ぐおッ!?」



 刹那、エドモンは右手を内側に曲げた。たったそれだけの動作で、ルーシの胴部に傷跡が刻まれる。さながら〝カマイタチ〟だ。


「貴様の防御が絶対ではないことも──」


 とはいえ、ここで引いたら名折れも良いところ。ルーシは羽を分離させ、ありとあらゆる法則をねじ込みエドモンを貫こうとする。


 それでも、エドモンは外傷ひとつ負っていない。


「……ッ!!」

「貴様の攻撃は、交わそうと思えばいくらでも交わせることも」


 原理は分からないが、このままだと負ける。エドモンは攻撃を仕掛けてこないが、ここまで言い当てられているのなら、ルーシへ効く攻撃手段も持っているはずだ。


(……こうなりゃ、金鷲の翼でも展開するか?)


 されど、ルーシにも切り札がある。ロスト・エンジェルスの街ひとつを包み込めるほどの、雷撃を繰り出す必殺技が。

 しかし、正直長い時間は保たない。保って2~3分だろう。それに、撃墜できない可能性も否めない。


 切り札を切るか、それとも逃げに徹するか。冷静な無法者として、ルーシは二者択一の選択を迫られる。


「どうした? すでに諦めているのか? 潔いな。ならば──!!」


 ここで、使っていなかった羽を使うときが来たかもしれない。この男に法則変換が通用しなくても、ルーシそのものには通じるだろう。


 すでに羽は大統領府のほうまで向かっていた。ルーシは、祈祷するように人差し指と中指を立てる。

 対して、エドモンはなにかの攻撃を繰り出そうとしていた。手のひらに赤いオーラが漂っている。やはり逃げるしかない。


 そう感じ、ルーシは翼と自分の位置を入れ替える。


 刹那、


「……、うまく行ったか」


 なんとか逃げることに成功したようだ。ルーシは大統領府を駆け巡り、クールの寝室へ入った。


「クール、起きろ。ガリアの皇帝陛下が来やがった」

「あァ? なんでロスト・エンジェルスに」


 クールは起き上がり、気だるそうに窓の向こう側を見る。


「おぉ、マジか」

「気の抜けた態度でいられるのは、ある種の才能だな……」

「つか、ルーシ。なんで傷だらけなの?」

「アイツにやられたんだよ」

「よっしゃ、おれが仕返ししてくるぜ」


 端的な会話もあっという間に過ぎ、クールは窓ガラスを割って空へ舞って行ってしまった。

 2回の異音で、使用人や事務局員が目を覚まし、クールの寝室へ向かってきていた。


「何事ですか、大統領……あれ? なんでお嬢様が」

「きょうの新聞でもテレビでも見れば分かる。それより、国内在留のセブン・スターズはいないのか? 大統領自ら出陣してしまったんだ」


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