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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第二幕 実力至上主義、MIH(メイド・イン・ヘブン)学園
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腐女子ではないらしい

 身長160センチ程度、無乳、黒のセミロングヘア、なんとなく漂う不気味な雰囲気。

 そんな少女メリットは、トイレで闘っていた。


「……ストレス? 煙草吸ってるっていうのもあるけど、肌も荒れてきたし」


 いわゆる便秘である。きょうで4日目。トイレで力んだり、食事を変えてみたり、飲み物を腸へ優しいものに変更したりしたが、どれも意味がなかった。腹痛は起きるが、それ以上へ進めないのだ。


「……煙草って便秘になりにくいっていうけど、まったく効果ない」


 そうやってぼやいていると、トイレにひと気を感じ取った。脱臭効果が強いトイレなのでニオイを嗅がれる心配はなさそうだが、それでも落ち着かないのは事実だ。ここは一旦切り上げようと、メリットは尻を拭き、地味な黒色のパンツを履き、スカートをつけた。


「……あ」

「よーう」


 あのときのクソガキだ。こっちはメンソールの1ミリで良いのに、12ミリなんて渡してきた10歳くらいのクソガキだ。しかも面倒な連中を引き連れてきたクソガキだ。


「あ? ……チッ。嫌なヤツが出てきやがった。そういやここ女子トイレだったな。おい、場所変えるぞ」

「その心配はねェよ」


 刹那、クソガキはブレザーを瞬時に脱ぎ、男へかぶせた。そしてあたかも当然のごとく金的を喰らわせた。


「……ッッッ!?」

「痛てェよな。気持ちはよくわかるぜ。だが、仕方ねェよな」


 あまりにも一瞬過ぎた痛撃に、女生徒が慌てふためく。


「ね、ねえ、フクロにするのはキツイかも……」


 女子生徒が男子へ懸念を示す。しかしメリットには関係のないことだ。ここは黙って立ち去るのが正解だろう。


「ちょっと待った。あとで1箱おごるから、いっしょにコイツらの痴態でも観察しねェか?」

「嫌。かっこよくないもん」

「腐女子はなににでも興奮できるって聞いたが?」

「……確かに。すこし見るだけだったら」


 別にメリットは腐女子ではない。ただボーイズラブが好きなだけだ。ただかっこいい男の子同士が絡み合っているのを見て、なんだか嬉しくなるだけだ。メリットは腐女子ではない。


「お、おい……ウィンストンさんかキャスターさんを呼んだほうが……」

「いや……考えろ。おれたちは全員ランクBだ。ひとり潰れたとはいえ、4人もランクBがいれば、ランクDの雑魚とランクAにだって勝てるだろ……?」

「そ、そうだな。よし……やっちまおう」

「そ、そうだね」

「う、うん」


 ルーシは深いため息をつき、

「なあ、獣人って生理のニオイとさ、別の人間のニオイって選別できるの?」

 メリットへそんなことを聞く。


「できないと思うけど。一応人間だし」

「了解。じゃ、やりますかァ」


 ルーシは指を鳴らし、ひとまず女子生徒との間合いを一瞬で詰める。


「っ!?」

「……なあ。こんな10歳のチビガキに4人がかりは卑怯じゃねェか? だから、禁じ手行くぜ」


 ルーシは彼女の股間を蹴り上げた。


「……っっっ!? いっったああっ!?」


 メリットはやることがないことを知り、換気扇を一番強くして煙草を咥えはじめる。


「金的ばかりいわれるけど、女性器も充分弱点だからか。同性同士とはいえ、確かに禁じ手」

「よく分かっているな。じゃあ、次。コイツらはなにをすると思う?」

「魔術でも使うんじゃない?」


 メリットの言葉どおり、ふたりが潰れたことに憤ったような態度を見せる女子生徒が、なんらかの魔術でなんらかの攻撃を放った。

 だが、ルーシはその閃光を触れて壊した。


「……はあ? 無効化系ってこと?」

「それも悪くねェが……すこし私の本質とは違うんだ。ま、暇なら当ててみな」

「クソッ!! 10歳に負けたら恥なんてレベルじゃねェぞ!! 一気に行こう!!」

「おおッ!!」


 3人同時。しかも全員ランクB。普通の生徒が目指す地点の最高峰に立つ連中だ。

 されど、ルーシはケラケラ笑うだけだった。


「良いねェ!! 頭も弱けりゃスキルも弱ェ!」


 男子の攻撃──おそらく身体(しんたい)強化系のスキルを持つ生徒は、ルーシの身体へ触れた瞬間、腕がありえない方向に曲がった。複雑骨折では済まないだろう。

 続いて女子の攻撃。これは最前といっしょだが、威力はいまのほうが上だ。しかし、その攻撃はルーシに当たることすらなく、暴発したかのように彼女の近くで爆発した。

 叫び声が聞こえる。当然ではある。


「うるさい。先生が来る」


 だから、メリットは自身の魔術で近くの音を消した。この女子トイレが遮音されたのである。


「あー……疲れた。わかったか? お……私の魔術が」

「最初は反射系だと思ったけど、だったらこの子の攻撃を1回喰らわないと発動できない。と、いうことは、一番近いのが操作系」

「ああ……若干違うが、おおむね正解だな」


 残るはひとり。そして、ルーシもメリットも彼へ失望に近い眼差しを向けていた。


「おい……仲間がやられているのに突っ立てるだけかよ。一番つまらんヤツだ。こりゃおしおきだな」

「ひ、ひィ!!」

「そんなビビるなって。私も一応学生だからさ、そこまでひでェことはしないよ」


 ルーシは腕がめちゃくちゃな方向に向いて、もがき苦しむ男子生徒のベルトを抜き取る。そしてそれで彼の腕をしばり、財布から学生証を取り出した。


「メリット、女はベルトしていねェ。なにか拘束する魔術を使えないか?」

「まあ、止まってる相手なら簡単だけど」


 そういい、メリットは意識のない女生徒ふたりを固めた。


「正座、って知っているか? まあ、こういう感じなんだが」ルーシは携帯の画面を彼らへ見せ、「オマエら全員これやれ。あと学生証な。男女問わず上裸だ。ああ、金も」


 うめく生徒、気絶する生徒、震え上がる生徒。

 それら全員、無理やり正座させ、ルーシは学生証を確認した。


「よっしゃ、オマエらの住所は抑えた。これから私に不利になるようなことをしたら、家族の安全は保証できないからな?」


 そして記念撮影である。女子がふたりいたが、ルーシのいったとおりに、彼女たちは上半身裸となって写真を撮られた。


「軽くっていったし……。本当は風呂に沈めても良いんだが、コイツらは解放してやれ」

「で? 男どもの痴態ってなに?」

「ああ、いまからやる。オマエら、シックス・ナインって知っているよな? ひとりマジで意識ねェから、ソイツ除外してオマエらふたりでしゃぶりあえ」

「なるほど。写真撮って良い?」

「良いぜ。なんなら、ネットにばらまくのもアリだな」

「個人用にしとく。私まで変態扱いされそうだし」


閲覧ありがとうございます。

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