表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
268/290

歴史は繰り返す。1度目は悲劇、2度目は喜劇

 世界地図は、塗り替えられていた。前世とさほど変わらない(違いは西太平洋にロスト・エンジェルスがあることくらい)地図をルーシは凝視する。


「その通りだ」クールは頷く。「ブリタニカは、大陸での混乱に乗じて植民地を次々と奪っている。特に、ガリアの植民地は次々と……」

「手放しているな」ルーシは地図を指差す。「ガリアは本土防衛を優先している。だが、これは罠かもしれない」

「罠?」

「あぁ。植民地を手放すことで、本土への軍事力を集中させる。そして、ブリタニカが植民地経営に忙しい間に、一気に周辺国を制圧する。まるで……」

「まるで?」

「まるでナポレオン戦争の再現だ」ルーシは眉をひそめる。「どんな世界軸であれ、歴史は繰り返すわけか」


 ルーシは21世紀出身者なので、こういう状況をナポレオン戦争と捉えるほかない。


「とはいえ、ロスト・エンジェルスのような国家は存在しなかったけどな」


 ルーシはそう言った。


 他方、この世界にはふたつのバグがある。ロスト・エンジェルス連邦共和国と、ルーシそのものだ。片や200年先の技術力、片や超能力者。魔法の世界には似つかわしくない。


「存在しなかったのか。いやでも、昔ブリタニカで修行したとき、古臭すぎて死にそうだったのを思い出すな。シャワーすらないんだぜ、あの国。女の子ナンパしても、臭くて仕方なかったわ」

「だからバグなんだよ。さて、長話しても仕方ない。さっさと支持率回復のため、私へのKIA判定を消せ。理由はなんでも良い」

「なら、泳いで本島までたどり着いたことにするか」

「私は泳げないんだよ……」

「どうせバレないだろ」クールは金の電話機で誰かと通話状態に入る。「国防長官、ルーシ・レイノルズは生きていた。今しがた泳いで本島へ帰還したようだ。あ? なに言っているんですか? おれがそう言っているんだから信じろよ」


 しばしの会話のあとクールは、ルーシへ伝える。


「とりあえず、ゆっくりしていけよ。オマエ、仕事熱心過ぎるしさ。今すぐ開戦するとか、特別攻撃隊を送るとかの話じゃないんだから」

「分かっているよ。一度死んで冷静になれた。クール、オマエも死んでみるか? あそこは結構落ち着くぞ」

「嫌だよ。天界にも一回行ったことあるけど、エロイことできねェもん」

 ルーシは呆れ気味だった。「そういえば、オマエって喧嘩とエロイことが大好きだったな」

「ともかく、今できることはない。もう大統領府の寝室で寝ろよ。深夜3時だぞ」

「あぁ、そうする」


 ルーシはあくびしながら、そのままソファーの上に寝そべり始めた。


「おい、寝室なら少し歩いたところにあるぞ」

「眠いんだ。泥酔でもしているみたいに」

「オマエが人前で寝るなんて珍しい。いつもボディーガードがいなきゃ寝ない、とか寝言抜かしてるくせに」

「死を克服した人間の強みだよ……ふぁーあ。おやすみ、クール」


 クールは怪訝な表情になりながらも、毛布をルーシにかけるのだった。


 *


「──ふぁーああ」


 ルーシは目覚め、時刻が朝の7時だと知る。生粋のパラノイア気質は治ったかもしれないが、ショートスリーパー気味なのは変わらない。


「とりあえず、タバコ吸うか」


 適当に置かれていた、クールの紙巻きタバコをくわえる。


「そういえば、他の連中はなにしているんだろうか」


 スマートフォンがないのと、そもそもルーシは死人扱いされていたので、連絡の取りようがない。


「アーク、メリット、メント、ホープ、シエスタ、キャメルお姉ちゃん」


 案外友だちがいるものだな、と思いつつ、ルーシはボーッと窓の向こう側を見上げていた。

 そのとき、

 凄まじい魔力がこちらへ迫ってきている、のをルーシは察知した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ