表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
267/290

世界情勢

 大統領府にたどり着いたルーシとクールは、顔パスで部屋に入った。


「大統領閣下にお嬢様……お嬢様!?」


 警備員が明らかに驚いているが、お構いなくルーシはソファーに腰掛ける。


「で、なにがあった?」

「そりゃこっちのセリフでもあるぜ」

「なら、私から説明する」ルーシはテーブルに置かれていた葉巻をくわえる。「まず、私はすべての魔力を使って死んだ、はずだった。ところが、タイペイって会ったことあるだろ?」クールは頷いた。「そのタイペイに言われた。今のロスト・エンジェルスにはルーシが必要だと。なんのことだかさっぱりだったが、アイツの情報とオマエらの置かれた近況を鑑みるに……」


 ルーシは目を細める。今度はクールのターンだ。


「まぁ、見ての通りだな。おれの支持率は大暴落。マスゴミどもは議会に大統領であるおれの弾劾を求める始末だ。もっとも、上院はまだおれの〝行動保守党〟が握ってるから、可決させないけど」

「なんでこうなった?」

「タイペイから教わっただろ? 武人皇帝さ。今、ロスト・エンジェルスは二分されてる。大陸の利権を狙うか、このまま日和見を続けるか」

「大陸に旨味があるものか」ルーシは葉巻を置く。「たいした資源も取れない。あるのは死体の山だけだ。だったら、海外領土獲得に向かったほうがマシだろうよ」

「いや、ゲルマニアを占領していた連中が壊滅したらしいんだよ」

「はぁ?」

「占領地帯の司令官、カルティエ・ロイヤル准将や、オマエもよく知るアークやキャメルはなんとか救ったんだが……一般兵士はほとんど殺られた。反ガリア感情は、今まで見たことないくらい膨れ上がっていてよ」


 タイペイが言った、まだこの世界にルーシが必要という言葉の意味が少し分かったかもしれない。ルーシはバグを起こしすぎた。進行不可能になりかねないバグを。であれば、それを取り除いてからでないと死ぬことも許されない。

 

 それらを踏まえて、ルーシは深い溜め息をつく。


「どうせ資源不足で開戦できないんだろ? なら、また遊撃隊作ってガリア武人皇帝の首を持ってきてやるよ。パーラが生きているだけでも、平和を作ってやらなきゃだし」


 クールは気まずそうに顔を引きつらせる。なにかとんでもない爆弾を持っているかのように。

 ……まさか、


「……パーラちゃんなら、オマエが死んだのを苦にして飛び降りたよ」


 考えられる限りで最悪のシナリオだった。パーラを放置して、いわば逃げるように一旦現世から離れたルーシは、その行動をひどく後悔する。彼女は俯き、顔を手で覆う。


「落ち着け、まだ死んだわけじゃない。植物状態だよ」

「……なら、私の術式を使って」ボソボソと呟く。

「いや、あれは自分をも殺すんだろ? 同じことの繰り返しだ。もう魔力で身体を無理やり動かすことはできないぞ」クールは、なおもブツブツなにかを呟くルーシに平手打ちをくらわせる。「落ち着けっての!! 良いか? オマエがあのときつけてた魔力を体力に変換する装置は、もう作れない代物なんだよ。制作者の博士が死んでしまったからな。分かったら、落ち着いてロスト・エンジェルスの医療に彼女を任せろ」


 ビンタで多少冷静になれたか、ルーシは顎を治す。


「……パーラは死なせない。私がほしかったものに、アイツは欠かせないんだ」

「だったら、冷静になれ」

「言われなくても」


 冷静であるように努めているつもりのルーシだが、その握りしめた拳は震えていた。


「……、話をまとめよう。愚民どもは武人皇帝って連中に感化され、同時に反ガリア的感情が高まっている。ガリアはこの地図を見る限り、ゲルマニア諸国の一部やヒスパニア半島、ロマーナ半島にも迫っている。対照的に、世界の植民地はブリタニカが握り始めている。そうだろ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ