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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
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戦争終結(*)

『ゲルマニア諸国の支配者、スオミ・アウローラが死にました。繰り返します、スオミ・アウローラが死にました』


 戦争開始から48時間が経過。ロスト・エンジェルス国防総省及び大統領府は、テレビやラジオを通じてそのニュースを報じた。


「ってことは」

「みんな勝ったのかな」


 ある事件の所為で、当分杖つく生活を余儀なくされたアルビノの少年。それに、ある事件の所為で一時期集中治療室に送られていた少女。

 シエスタとホープはいつもの病院で、あっけらかんとした表情になっていた。


「ルーシやメリットさんが、パーラちゃんとメントちゃんを救いに行ったんだよね」

「ああ。他にも、キャメルのアネキやアークも向かったって」

「みんな、無事かな」

「ルーシ以外は読めないな」


 ふたりとも、ルーシの生存だけは確信していた。とはいえ、彼らがここへ現れるのは、もう少し先の話だろう。

 そう思い、テレビを消そうとすると、


「え……」

「嘘だろ」


 戦死者・犠牲者報告も流れてきた。そこでふたりは、信じがたい現実を目にする。


『KIA:ルーシ・レイノルズ』

『MIA:アーク・ロイヤル少佐』

『MIA:キャメル・レイノルズ』


 なお、KIAという単語は〝戦死〟を意味し、MIAは〝行方知れず〟である。


 *


「中将殿。宇宙電波での通信にも応えませんし、魔力もまるで感じ取れない。これはつまり──」


 ポールモールは顔を引きつらし、かつての上司ジョン・プレイヤーに報告していく。

 ジョンもまた、途方にくれているようだった。まさか子ども3人も守れないとは、という感じである。


「MIAだな。カルティエ准将とは連絡ついたか?」

「ええ。なんでも、アークとキャメルさんが見つかるまで、ゲルマニアに残るとか」

「言っても聞かない女だからな。ディーさん、いや、D-スペック亡き今、アイツがセブン・スター最候補なのに」


 ジョンは首を横に振り、


「でもまあ、カルティエ准将なら死なないだろ。それに、戦後処理もある。どうせゲルマニアの権限はおれたちが握ることになるだろう。であれば、軍の司令官も必要だからな」

「……、中将殿はそれで良いんですか?」

「あ? なんだよ、ポールモール」

「おれたちは国を守るために動いているはず。だというのに、ロスト・エンジェルスの子どもたち3人が戦死と行方不明。おれたちが守ろうとしたものって、結局なんなんですか?」


 ジョンはサングラスに触れ、苦く笑いながら、


「オマエがどんな不満を抱いて退役したのか知らんが、所詮仕事は仕事だぞ。おもちゃ屋で痛みすら知らない子どもを相手にするのと、死ぬにも狂いで突っ込んでくる魔術師を駆除すること。どちらも、ロスト・エンジェルスには欠かせない仕事だ」


 サングラス越しの目は見えなかった。ポールモールは、「ええ……、きっとそうなのでしょう」と返すことしかできない。


「さて、大統領府と司令部に連絡だな。ルーシの戦死と、キャメルちゃんとアーク少佐のMIAを報告し──」


再開します。さーせん。


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