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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
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世直しの果て(*)

「チッ……。アンタ、意図的にくらっただろ」

「そうだ。オマエにトドメを刺されるのなら、このつまらんナラティブも昇華するはずだ」

「ふざけんなよ、ふざけんな!!」


 ジョン・プレイヤーは、らしくもなく声を張り上げた。


「アンタの理想の所為でたくさん死んだ! なのに、この事件はアンタの命ひとつで精算されちまう! ロスト・エンジェルスの子どもたちが何人死んだ!? ゲルマニアの市民たちは!? おれたちが守るはずだった連中は、一体何人死んだんだよ!?」

「だからおめェは、ケツが青いんだよ。ジョン」


 錯乱すらしているジョンに向け、D-スペックは最後の口上を告げていく。


「革命を知ってるか? ジョン。外の世界に出たことのあるオマエだったら、余計に分かるはずだ。現に、このゲルマニアでも起きているものだろう?」

「……あ?」

「革命とは、世直しの果てだ。もう政治家は頼りにならない。もう腐敗した官僚はどうにもならない。なら、武力をもって解決するしかない。そして、それを評価するのはオマエでなく、歴史だ」


 D-スペックは明確な意志をもって、ここまでやってきた。でなければ、ただの人殺しになってしまう。彼には彼の正義、背負う大義がある。

 それでも、ジョンは納得しない。


「……、ディーさん。アンタこそ、革命を知らねェんだよ」ジョンは打って変わって冷静に、「アンタはただの理想主義者だ。夢見がちな子どもと変わらねェ。革命家はいつだって理想を現実にしようとするモンだが、所詮本にしか書かれてない絵空事は実像にはならない」


 D-スペックはニヤリと笑った。


「ああ、そうかもしれんな。さて、おれはこれからどうなる。官僚主義者どものため、裁判にでもかけられるのか? クールを始めとする、レイノルズ家の犯罪をなかったことにするためにか?」

「綺麗事で政治はできない。だからおれたちは軍人なんだろう? なにも考えず、なにも見ずに殺戮していく一本の槍。それで良かったはずだったんだ……」

「なぜ、泣く? ジョン」

「……、即決裁判だ。アンタの名誉を守るために、ここで始末していくぞ」

「ハハッ……、やはりオマエはケツが青いな」


 佐官以上の軍人全員に配られる、50口径の殺意の塊。そのハンドガンをD-スペックの頭に向け、破裂音とともに、ジョンは即決裁判を終わらせた。

 彼はそのまま、宇宙方面軍からの電波を使い、本国へ連絡する。


「生きてたか。ジョン」

「ああ。今すぐ回収部隊をよこせ。これ以上の戦闘は時間の無駄だ」

「D-スペックはどうなった?」

「始末した。どうせ、宇宙から眺めてたんだろ」

「ああ。オマエらの気持ちなんて分からんが、ここは見逃すとしよう。ところで、うちの娘と連絡が取れない。探してくれないか?」

「分かった。ただ、他の子たちの回収は任せたぞ。大統領閣下」


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