表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
260/290

〝世界は変わる、自分の望むほうへ〟

「姉さん……!?」


 ネイトは目を見開く。あのスオミ・アウローラが、見るも耐えない姿になって自身のもとへ投げ捨てられた。決して負けるわけのない女が、まさか、あのルーシに……!?


「なーに、ボーッとしているんだい!?」


 ルーシは雷槌を操り、それをネイトに直撃させた。そんな〝災害〟に敵うわけもなく、ネイトは悲鳴とともに肉挽き器に放り込まれたのだった。


「る、ルーシ?」

「あァ……?」


 メントは恐怖を覚える。あの根暗(メリット)が敵わなかった者を、この幼女はあっさり殺してしまった。極限状態の中、メントは身体から力が抜けていくのを感じる。


「おれに関わったヤツらは、皆殺しだ!!」


 カイザ・マギアなのか? いや、いくらルーシとはいえ、なんら躊躇なく友だちに〝服従術式〟を放つものか? 

 しかし、考えていても無駄だ。いまのルーシが正気とも思えない。メントはありったけの力で、ルーシに矢印を向かわせる。

 だが、


「おい、そんなチャチな攻撃じゃあ、酔いが覚めちまうだろうが!!」


 それらは反射されたかのごとく、メントの胴体からわずか数センチ離れたところに跳ね返される。


「もう骨のあるヤツはいねェのかぁ!? あァ!?」


 もはやルーシは正気ではない。それは分かっている。もうパーラがなにを言っても止まらないかもしれない。

 それでも、立ち上がる者がいる。


「……クソガキ」


 メリットは、もう骨まで砕けているのに、なおも立ち上がった。

 ピクピク、と放って置いても震える身体なんて気にも留めず、


「アンタは……、〝愛と平和の守護神〟なんじゃないの?」


 急に押し黙ったルーシに、メリットは語りかけていく。


「そこにいる絶壁も、お姫様も、カマ野郎も、キャメルも、この場にはいないけど、ホープも、アルビノも、みんなアンタのことが好きだから命張ってる。それなのに、なんで、それすらも、放棄して、外道に、成り下がろうと……」


 メリットは、それだけ言い残して倒れた。まだ死んじゃいないが、早くロスト・エンジェルスに戻さないと本当に死んでしまう。

 そして、ルーシは、


「……、私はまだ死ねねェのか? まだ、許しちゃくれないのか? もう散々苦しんだ。必ず殺したいヤツも殺してやった。なのに、まだ死ぬことが許されないか?」


 どこか錯乱した口調だった。ルーシらしくもない、焦りや悲しみが混じったセリフであった。

 刹那、


「ルーちゃん!!」


 どこからともなく、パーラが現れた。命を張っても良いと思える獣娘の少女が、ルーシの前に現れてしまった。


「もう辞めようよ! こんなの、ルーちゃんじゃないよ!! いつも言ってたじゃん!! 〝世界は変わる、自分の望むほうへ〟って!!」


 メントは敵わないことを分かっていても、せめてパーラを逃がすべく闘おうとするが、

 ルーシは力なく地面に落下してくるだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ