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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
259/290

敗残兵(*)

『……閣下は、これからどうなさるのですか?』

『当然、逮捕されるつもりはない。ひとまず、亡命するしかないだろう』

『そのために、ゲルマニア諸国と接触していたのですか?』

『そういうことだ。しかし必ず、LTASの元王族はおれを許さないだろう。ヤツらは、自分たちが“人道に対する罪”を背負っていることへの自覚がないからな』


 *


「はあ、はあ……!!」


 ゲルマニカ中央部、メリットとネイトの対決。

 勝者、ネイト。


「魔力がなくなっちゃえば、もう戦闘員とは名乗れないよねぇ……☆」


 大激突の末、メリットは負けた。負けた者に世界を変える力はない。

 白目を剥きながら、メリットはいま、じわじわと流れ行く血液を呆然と眺めるほかなかった。このままでは死ぬ。確実に死ぬ。ロスト・エンジェルスですらない場所で、骨も拾われない。


「さて、姉さんの手助けでもしますかな。まだルーシのチビに構ってるとは思えないけども☆」

「……ふっ」


 地べたに爪をにじませたメリットは、その言葉を鼻で笑った。あざ笑うかのように。


 その嘲笑を耳にしたネイトは、途端に態度を変え、


「なに笑ってるの? ロスト・エンジェルスじゃ死ぬ前に鼻で笑う習慣でもあるの? ……なあ!!」


 メリットを完全に死滅させるべく、彼女のもとに地面を蹴り上げ詰め寄る。

 そして、彼女の頭をかち割ることで、苛立ちを昇華させようと、脚をあげたとき、


「そんな慣習ねえよ、バーカ」


 矢印、が飛んできた。凄まじい速度とともに。

 やがて、それらはネイトの身体に爆発を付与する。重低音が響き、空気の流れが変わる頃、ネイトは憤怒に染まった顔で前を見るのである。


「てめえ!! どうやって脱出しやがった!?」

「オマエに教える義理、あるの?」

(結構威力入れたのに、服がちぎれただけかよ……)


 メントは自身の実力不足を実感した。が、もともとメリットとの戦闘で消耗していたネイトには響いているはずだ。

 彼女は足から矢印を放射し、ネイトとの間合いを狭める。ただし目的は近接戦ではない。


「格好つけて死ぬなんて、似合わねえぞ……根暗!」


 身を体した、いわば人質の交換のような行動だった。メリットを爆発で浮かせ、数百メートル先まで吹き飛ばしたのだ。


「…………笑わせてくれるじゃん」


 頭に血が昇っていたことを知ったネイトは、普段通りの飄々とした態度で、しかしかつての余裕などない苛立ちも隠さず、


「アンタがあのクソガキの代わり!? そりゃ面白いよ!! こんなに舐められたのは久々だ!!」

「……!!」

「ルーシのクソもそうだ!! 私たちをどこまでも舐め腐りやがる!! おらァ!! ぶち殺して──!!?」


 ネイトの拳がメントの腹部を貫こうとした、まさにその瞬間、

 大雷撃がその腕を焼き払った。


「おお!! 敗残兵のネイト!! てめェも楽にしてやるよ!!」


 ルーシは、スオミ・アウローラをネイトのもとに投げ捨てた。



忘れた頃にやってくる


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