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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
258/290

人道に対する罪(*)

「おう、馬鹿女。オマエはロイヤル家の養子だよな? 戦災孤児だったところを拾われたわけだ。だから見逃してやろうと思ったが……」

「おう、ハゲ野郎。良く分かってるじゃねえか。お父様とお母様には感謝し切れねえくらいだ。ただなあ……」


 D-スペックとカルティエの魔力が膨張し、やがて衝突し始めた。


「あたしはなぁ!! アークたんとキャメルたんに結ばれてほしいんだよ!! だから、ここで死なせるわけにはいかねえ! 分かったか!! 腐れ外道!!」


 ジョン・プレイヤー、アーク・ロイヤル、キャメル・レイノルズ……と連戦を続けてきたD-スペックは、熱量を持つ魔力による衝突に耐えきれなかった。彼は跳ねることなく、どこまでも、どこまでも、吹き飛ばされていく。


(まったく……笑えるほどに恵まれてるな、オマエら元王族は)


 やがて倒壊しかけている民家にぶつかり、D-スペックはワナワナ、と身体を震わせながら立ち上がる。


「ひ、ひぃ!!」


 民家は凄まじい速度で飛んできた、D-スペックが激突したことで崩壊する。ゲルマニアを襲った異常事態に怯える民間人の女性が、なんとか壊れゆく家から飛び出てきた。


「や、やめろ!! 妻に手を出すな!!」


 その隣には、夫らしき男性もいる。農耕用のスコップを持って、D-スペックに立ち向かう姿勢だった。


「…………」


 D-スペックは、なにも言えずにその場から飛び去って行った。


 *


『ディーさん、アンタはなんで軍人になったんです?』

『どうした、藪から棒に。ジョン』

『いやー。言っちゃ悪いけど、先輩の思想ってLTAS国防軍の中じゃ異端でしょ? アンタはロスト・エンジェルス発展よりも、もっと先を見越してる気がするンすよ。なんつーか、生まれてくる時代間違えたっていうか』

『はッ、そうかもな。ジョン、おれはこの世界の改革をしたいから軍人やってるんだ。生まれたところや人種、種族、それらが抱える那由多の問題を乗り越えて、みんなが笑いあえる世の中を築きたいんだよ』


『閣下、クール・レイノルズ大統領から出頭命令が出ました。24時間以内に大統領府へ出向くように、と』

『なぜだ? まるで国家に反逆したような扱いじゃないか、その言い草だと』

『そ、それが……』


『おれが元王族を殺した、だと?』

『そ、そうです。クール大統領を始めとする長官たちは、そう捉えているようですが──』

『なるほど。若造だと思って舐めてたが、情報収集能力の高い男だな。現大統領は』

『え?』

『だが、おれは人道に従っただけだ。アルファベット大尉、いまから話すことは内密にしておけ──』


『ああ、知ってるよ。カルタゴ方面でレイノルズ家の連中が遊んでるんだろ? おれの親戚だな。それがどうしたんだよ?』

『そ、それが……突如現れたD-スペック閣下に、れ、レイノルズ家の方々が殺されたと』

『あァ? どういうことだよ? D-スペックはなに考えてるんだ? ……、しゃーねェ。出頭させろ』


『ほ、本当にあったのですか? そのような蛮行が』

『ああ。カルタゴに暮らす罪なき人々や少数種族は、レイノルズ家の連中によってガリアやアメリカーナに売られた。しっかりこの目で見てやったさ。何百回と、な』


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