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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
257/290

”推しの子”(*)

 帝都ゲルマニカ西部。建物らしい建物がほとんどすべて倒壊し、市民たちは雷槌に破壊され、その余波は隣接する都市をも崩壊させつつあった。

 そんな状況下、D-スペックは、白目を剥くアーク・ロイヤルを睨んでいた。


「このガキ、まだ死なねェのか」


 地べたへ仰向けに倒れ、吐血し続け、それでもなお死なない。なにかを待っているかのように。まだ救いの手は残っている、と言わんばかりに。


「チッ……、惜しいな。オマエらが元王族でなけりゃ、殺す必要もなかったってのに」


 D-スペックは拳銃を取り出す。50口径のそれは、手始めにアークの頭に向けられた。

 そのとき、


「おい、ゴラァ!! てめえ、アークたんとキャメルたんに……なにしてくれてるんじゃい!!」


 女の声とともに、D-スペックのハンドガンが彼方に吹き飛ばされた。

 D-スペックは右を向いて、思わず首を横に振る。


「なにを? 決まってるだろ。このガキどもの頭をかち割ろうとしただけだ。カルティエ・ロイヤル准将」


 刹那、カルティエ・ロイヤルという金髪のベリーショートヘアの女は、D-スペックに手のひらを向ける。そして、手から金属音とともに緑色の光線を吐き出した。

 それらは右往左往に広がり、やがて音速を越えた速度でD-スペックの身体に突き進んでいく。


「気体にビームが当たるかよ。頭に血ィ上りすぎだ、馬鹿女」


 D-スペックは退屈気にそうつぶやく。彼は自身を気体に変えられる以上、こんな単調な攻撃を食らうわけがない。D-スペックは自らを煙に変えて、その破滅的な攻撃を避けた、はずだった。

 しかし、カルティエ・ロイヤルの攻撃はこれで終わりでなかった。


「──ぐ、はあァ!?」

「効いたか!? これがアークたんとキャメルたんの痛みだ!! あたしの推しの痛みなんだよ!!」


 カルティエ・ロイヤル。セブン・スターズ予備生の一員であり、その実力につけられた値札は脅威の11億メニー。

 そんな血統書付きの化け物は、いくら頭に血が上っていようとも、戦闘の運び方は冷静そのものだった。

 まず、目をくらますために触れたものを焼き払うレーザービームを放ち、相手が避けたところで即座に接近し、超至近距離で手のひらから光線を放つ。

 固体から気体に変化するまでに、一瞬のタイム・ラグが発生する。すなわち、コンマ単位でカルティエは攻撃を繰り出したのだ。


「アークたん! キャメルたん!! 大丈夫か!?」


 カルティエはD-スペックが当分立ち上がれないと踏み、アークとキャメルのもとに駆け寄る。彼女は軍人用の興奮剤をふたりの腕に刺し、アークとキャメルの頬にキスをする。


「──カルティエお姉ちゃん……お姉ちゃん!?」

「お姉様っ!? ──ぐっ!!」


 声を出した途端、キャメルは血の塊を吐き出した。そんな少女をカルティエは抱きしめる。


「もう大丈夫だ、ふたりとも!! あとはあたしが、あの分からず屋をぶっ殺す! 絶対に!!」


 強気な笑みを浮かべた。

 カルティエ・ロイヤルは、さも当然のごとく立ち上がったD-スペックと、対峙する。

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