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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
256/290

そんな結末、許さない(*)

 数百本に及ぶ黒い矢印が瓦礫を吹き飛ばした頃、メントはぐったりしたパーラを抱えて足元に矢印を発生させる。そして、ふたりは空中高く跳ね上がった。


「なんだよ、これ……。地獄じゃないんだよな?」


 メントは外の世界を見てしまった。大雷鳴が響き渡り、雷槌が降り注ぎ、暗い天空には赤く充血した目が広がり、街だった場所からは悲鳴が聴こえ、その声も雷撃に消されていく。


「どこに着地すれば良いんだよ……。いつまでも空にとどまれるわけじゃないんだぞ?」


 爆発の威力で空高く舞い上がっているだけだから、いつかは着陸しなくてはならない。できれば、いますぐにでも。

 だが、どこを見たって雷が降り注いでいる。メントは足から弱めの矢印を出すことで方向転換を図るが、果たしてここのどこに逃げ場があるというのか。


「ん?」


 そのとき、こちらに急接近してくる人間を見つけた。どうやらテレポートを使っているらしく、姿が現れては消え、見えては消えて……やがてその者はこちらの手を握り、導くかのごとく空間移動を重ねていく。


「メントちゃんだね? それにパーラちゃんも」

「アンタ、何者だ?」

「貴方たちの味方だよ。詳しい話は、安全地点でしよう」


 アジア系の女はそう言い、メントとパーラをゲルマニカ郊外に連れ出す。

 そこには、巨漢の黒人と狐の被り物をした女性、そして……。


「リヒト!?」

「えーッ!? メントちゃん!?」


 顔芸のように口をあんぐり開ける、赤髪の少年リヒトがいた。


「「なんでこんなところにいるんだよ!? まさか助けに来たの!?」」 


 声まで被ってしまえば、ふたりが如何に蜜月か分かるものである。


「おい、リヒト。人質がふたりいるって言っただろう?」

「えーッ!? 峰の親分! 人質ってメントちゃんとパーラちゃんだったの?」

「むしろ誰だと思ってたんだ?」

「前大統領とか?」

「ルーシCEOとクール大統領が前大統領を救え、なんて命令飛ばすと思うか?」

「うーん、確かに。あの社長と大アニキが、無能のために命張らせるわけねェか。つーわけで、メントちゃんにパーラちゃん、こっち来て。治療するよ」

「う、うん」


 リヒトが満身創痍のパーラとメントのために、緊急医療キットの説明書を読み始めた頃。


「さて、人質は返してもらいました。撤退しますか? 峰総長」


 人質回収に一役買ったマーベリックはそう質問する。


「いや……ポールモールさんの回収も必要だ。それに、CEOの御学友であるメリットという子も。そして、なにより──」


 恐ろしい勢いで飛んでくる瓦礫等を八千代が斬り裂きまくる頃、この場の指揮権を持つ峰は溜め息をついて、ただうつむく。


「CEOを止めなければならない。しかし、いまのルーシCEOは正気ではない。まるで暴力装置のように」


 そんな中、医療キットを注入され意識を取り戻したパーラと、最前の逃走で使い果たした魔力が復活したメントは、途端に立ち上がった。


「あの根暗、格好つけて死ぬつもりだってんなら、そんなことはあたしが許さねえ」

「ルーちゃんは暴力装置なんかじゃない。心を持ってる。持ってないなんて嘘、絶対許さない」

閲覧ありがとうございます。

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