表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
254/290

"幼女"ルーシ”VS"武人皇帝"スオミ

「ヒヒヒッ……!!」


 アーク・ロイヤルとキャメル・レイノルズが戦闘不能に陥った頃、ルーシは異様な笑い声を張り上げ、スオミ・アウローラと交戦していた。

 互いの距離は離れているものの、どちらが優勢なのかは表情と口振りで分かる。


「アヒャヒャ……。あはは、ひゃはははは。楽しいなァ!! スオミィ!!」


 身長155センチ程度の幼女ルーシの背中には、白い翼が広がっている。彼女のちいさな身体を包み込めるほどのおおきさだ。そして、羽のひとつひとつには、赤く充血した目が無数に垣間見え、それらは決してスオミを逃さない。


(クソッ……。あのガキ、やってることめちゃくちゃだぞ?)


 もはや不条理の域である四方八方からの波動に、スオミの骨は何度もへし折れた。

 そのたびに法則を操作し身体を再生させているが、その所為で攻撃ができない。一方的な消耗戦を強いられているわけだ。

 また、ルーシの意志に呼応するかのように巻き起こる大雷鳴も不気味だ。いまのところ直撃していないが、当たれば身体の再生は不可能であろう。


(あたしが分け与えた超能力に魔力を混ぜ、更に天使の力まで振るってやがる……。せめて“天使の片鱗”を解けりゃ違うんだが……)


 天使は人間を監視するために、この天と地の狭間に現れるのだという。そして彼女たちは極稀に、人間へ天使の力を付与する。

 その力は、ある程度の魔術師ならば皆使える“悪魔の片鱗”を軽く凌駕している。

 だからスオミは、どこからでも湧き出る衝撃波を避けつつ、法則を操りルーシから天使の力を取り除こうとした。


 ところが、


「ぎゃああああああ!!」


 新たな法則をこの世界に埋め込むべく、目を瞑った瞬間、スオミは激痛に悶えた。

 ほんの一瞬で、ルーシはスオミの胴体を翼でつらぬいたのである。


「スオミィ!! くだらねェ真似してくれるじゃねェかァ!!」


 ルーシは猛り笑い、流れるかのごとくスオミとの間合いを狭める。幼女らしい柔らかな手は拳に代わり、金色のオーラに包まれ、傷口を再生できていないスオミの腹部にねじ込まれた。


「ゲフぅッ!!?」

(──いまのは“悪魔の片鱗”!? このガキ、なんで天使と悪魔の力に耐えられるんだよ!?)


 天使と悪魔は決して相容(あいい)れることはない。近距離での肉弾戦で使われる悪魔の力と、断じて敵を逃さない天使の力。天使と悪魔は天敵同士である以上、このふたつを完璧に使いこなせる人間など、存在しないはずだった。

 だが、ルーシがその常識を破った。有り体に言ってしまえば、たったそれだけの話である。


「良いねェ!! 楽しいねェ!! 愉快だねェ!! 素敵だねェ!! そうだろう!? スオミ!!」


 腹部に風穴が空いたスオミ・アウローラは、ピキピキ……と眉間に血管を浮かばせた。


「なーに怒っているんだい? これはオマエの始めた物語(ナラティブ)だろう? スオミ、オマエ昔良く言っていたよな? 『世界は変わる。自分の望むように』と」ルーシは明るく歌うように、「もっとも、オマエのチンケな世界は──!!」


 ルーシの翼が妖しく光った。

閲覧ありがとうございます。

ブックマーク、感想、良いね、評価、ぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ