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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
253/290

勝者はどっち?(*)

「…………ふっ」


 たいていの人間ならば致命傷。死んでいなければオカシイ。皮膚がただれ、骨まで透けて見えるのだから。

 それでも、D-スペックは鼻で笑った。この程度で殺せるつもりなのか? と言わんばかりに。


(まだ生きてる……? 身体が旧魔術で痙攣してるはずなのに。キャメルの必殺技を2回もくらったのに)


 ぞおぉ、とアークは背筋を凍らせた。戦艦の残骸から溢れ出る炎の光が消えかけ、D-スペックの表情も見えない。その状況が余計に恐怖を駆り立てる。


「おもしれェよ、オマエら。こんな痛てェ思いするのは何十年振りだ? ははッ。惜しいねェ。殺すにしちゃあ、あまりにも惜しい」


 瞬間、D-スペックが消え去った。まるで気体が蒸発したかのごとく。

 そんな中、灰色の煙がアークとキャメルに迫る。

 そして、ふたりの首が締め上げられた。


「ぐうっ!?」


 D-スペックのせせら笑うような声が聴こえてきた。不気味な笑い声とともに、アークは地面に叩きつけられる。

 頭蓋骨がきしむかのような感覚に苛まれ、アークは鼻血と吐血をだらしなく垂らした。とはいえ、致命打にまでは至っていない。


「さあ、治験の時間だ。温室育ちのお嬢様は、いったい何十秒毒ガスに耐えられるんだろうな?」


 アークは息を呑み込み、隣にいるキャメルへ目を向ける。

 そこには、嘔吐物と血液を口から流す少女がいた。


「──キャメル!」

「げへッ!! げへッ!?」


 キャメル・レイノルズは、もはや言葉も発せられない。身体に入り込んだ毒素を、取り除く術がないからだ。


「おう、元王族。オマエらはおれたち一般市民よりも偉いんだろ? 勲章もたくさん持ってるんだろ? だったら、これしきじゃくたばらないよなぁ?」


 灰色の煙からヒトが発生し、その者はさも当然のごとく皮膚を再生していた。


「なんだ? 愚民とは会話もしたくないと? そうか。あいにく、おれも同じことを思ってたんだ」


 顔色が緑色に染まったキャメルを、D-スペックはなんら躊躇なく踏みにじった。その度に彼女は吐血し、くるくると目を回す。


「おう、アーク・ロイヤル。コイツはオマエの幼馴染なんだよな。いま、どんな気持ちだ? おれだったら号泣するね。泣いても問題は解決しねェが、まあ、あれだ。人間ってのは感情の生き物だもんな」

「……なにが言いたい」

「言いてェこと? そうだな……」


 アークは拳を固く握りしめ、幼馴染と自分をあざ笑うD-スペックに渾身の一撃を叩き込もうとする。

 しかし、D-スペックは再び気体になってどこかへ消え去ってしまった。


「いなくなった……? ──キャメル!! げ、解毒しないと!!」


 アークは自身の旧魔術でキャメルの毒素を取り除こうと、彼女の手を握りしめた。

 その最中、


「ぐッ!?」


 煙がアークの胴体にまとわりつき、そのままD-スペックは勝利宣言をするかのごとく、


「オマエらじゃ役不足なんだよ、ガキども」


 白目を剥いたアークに吐き捨てた。


 22時30分頃、ゲルマニカ西部での闘い。

 “セブン・スター”アーク・ロイヤル及び乱入してきたキャメル・レイノルズVS“セブン・スター”D-スペック。

 勝者、D-スペック。


次回よりサブタイトルを刷新します。まあ、『101/1』『101/2』みたいなタイトル付けを辞めることにしました。分かりづらいですしね。


また、累計20万字超えのシーズン1を読みやすくするために、話の再編成を行っていますが、シーズン2以降はおそらく一話1200字として編成されると思います。


要するに、

シーズン1に分類されるお話は再編成。一話2400字程度。

シーズン2と3は現在の一話1200字程度のまま。ただしサブタイトルと内容変更あり。

となる予定です。

よろしくお願いします。

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