フランマ・カメールス(*)
タイトルを挿入し忘れるという大ぽかしてました。すみません。
「──ぐはあッ!?」
ノーバウンドで壁まで叩きつけられたD-スペックは、その小柄な少女に猛者の面影を覚える。
ジョン・プレイヤー、スオミ・アウローラ、そしてクール・レイノルズのようなオーラが漂っているのである。
だが、ここで撃墜されるほどD-スペックもヤワではない。瓦礫から立ち上がった彼は、不敵な笑みを浮かべ、即座に“見えざる手”でキャメルを掴もうとする。
しかし、
「させるかよ!!」
脳震盪まで起こしていたアーク・ロイヤルが立ち上がり、その“見えざる手”を構成する魔力を崩した。
「キャメル、さっきの技って……」
「ええ。お兄様に教わったのよ。自らの魔力だけでなく、魂をもまとわせる方法をね」
キャメルはしてやった、という笑顔でアークと目を合わす。
「でも、いまのは不意をついたから直撃したみたい。油断は天敵よね」
キャメルの言ったことは間違いでない。
D-スペックはキャメルを侮っていた。それは彼の口ぶりからも明らかだ。
「厄介なのを連れてきやがって……。クール・レイノルズの妹か」
だが、キャメルが危険な存在だと理解したいま、もうD-スペックに隙はないだろう。
では、どうやって最年長のセブン・スターを攻略するか。
「……キャメル。その魂と魔力を混ぜた術式、あと何分で展開できる?」
「時間稼ぎするつもり?」
「いや……妙案を思いついた。ハイリスク・ハイリターンだけどね」
一方、D-スペックもまた、ふたりを一掃する腹積もりだ。
「悪くねェ。だが、まだ足りねェぞ。ガキどもォ!!」
彼は手始めに“カイザ・マギア”で魔力を集める。紫色のオーロラが舞う頃、スキンヘッドで身体の半分におびただしいタトゥーが入っている彼は、一瞬でキャメル・レイノルズに詰め寄る。
「──キャメル!!」
アークは叫ぶ。キャメルは反応しきれていない。
D-スペックの右腕には、質量を持つ魔力が漂っている。くらえば一撃であの世行きだ。これで邪魔な女が消える、とD-スペックは確信した。
刹那、
(なんだ? 身体が動かねェ……。麻酔でもかけられたみてーだ)
D-スペックは身体に違和感を覚える。身体が泥のように重たい。やがて彼は力なく地面に膝をついてしまった。
そんなD-スペックへ、キャメルは最前のリプレイのごとく、ラクダのような現象を巻き起こした。それはD-スペックを呑み込むかのように、巨大化する。
「ぼくをもっと調べておくべきでしたね! D-スペック閣下!!」
「ッッッ!!」
アークの煽りに、D-スペックは歯を思い切り噛みしめた。
「さあ、行くわよ!! 追撃!! フランマ・カメールス!!」
なにが起きたのかわからないまま、D-スペックはキャメルのラクダに呑み込まれ、全身がケロイドになるほどの火傷を負った。
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