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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
250/290

〝21世紀最大の怪物〟

「…………」


 ルーシはしばし黙り込み、やがて口角を上げる。


「ふへっ、へへっ、ひひっ、あぎゃひゃひゃひゃっ!!」


 血で染まったかのような赤い目つきとともに、その銀髪幼女は立ち上がって笑い声を張り上げ始めた。


「あひゃひゃははははははははッ!! 全部台無しだ!! おれの所為で全員死ぬ!! だがよ、それがなんだって言うんだ!? おれの魂を持つヒューマノイドも、おれなんかについてきたカスどもも、おれと関わっちまった連中も、全員知っていたはずだろう!? ルーシ・スターリングという人間の異常性をよォ!!」


 その笑い声と泣き叫ぶような大絶叫を聞き、スオミとジョンは一旦すべての戦闘を取りやめる。

 155センチ程度の幼女が出すにしては不相応な大声が、帝都ゲルマニカを文字通り焼き払いかねない魔力の膨張が、ふたりの猛者をも静止した。


「全員ぶち殺してやる!! まずはてめェからだ!! スオミィ!!」


 刹那、ルーシが消えた。スオミとジョンは魔力を察知して、彼女の居場所をつかもうとするが、


「あぁ……? あのガキ、どこ消えやがった?」


 まるで感知できない。スオミは眉を潜め、どのみち姿を現すだろうとあたり一面にオオハクチョウの翼の羽根を落とす。

 街中全体に広がった美しい羽根は、触れた瞬間相手の細胞を破壊するように仕向けてあった。


 だが。


「スオミィ!! オマエにしちゃ随分退屈な防御じゃねェか!!」


 憤怒と笑み、そして涙目のようにも見える表情とともに、ルーシはスオミの眼前に現れた。その幼女はスオミに触れ、彼女を数百キロメートル離れている大聖堂まで吹き飛ばした。


「ご、はあ!! あのガキ、このあたしに攻撃しやがった!?」


 トラウマで攻撃能力が鈍っていると断定していた相手からの痛撃。スオミ・アウローラは口からケチャップのごとく血を吐き出し、鉄の味に口内を支配される。


「ああ!? まだ追撃してくるのかい!?」


 されどこれだけで終わる相手でもない。ルーシは21世紀の最新戦闘機並みの速度でスオミに詰め寄り、背中から腕に翼を生え変わらせる。黒と紫が入り混じった、もはや鷲の翼ですらないそれは、充血した目が無数に広がっていた。


「て、てめえ!! いつ天使と契約したんだい!?」

「オマエに話す義理はねェよ!! おお!! 楽に死にてェなら神とやらにお祈りしていろ!!」


 身長にして20センチ離れているスオミ相手に近接戦を仕掛ける程度には、いまのルーシは冷静でない。力負けする可能性のほうが高い、と普段ならば考えるからだ。

 だが、いまのルーシに冷静さなど必要ない。あとは力任せに相手を粉砕するだけだ。


「上等だ、ゴラァ!! その翼ぁへし折ってやるよぉ!!」


 スオミはカウンター攻撃することでルーシの翼をへし折ろうと、聖堂に埋め込まれた自身の身体を無理やり動かそうとする。

 そして、帝都ゲルマニカの市民たちの拠り所であった大聖堂は崩壊した。


閲覧ありがとうございます。

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