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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
248/290

スオミVSルテニア

「無様だなぁ、ルーシ!!」


 帝都ゲルマニカの東街では、ふたりの無法者の対決にケリがつきつつあった。それはスオミ・アウローラの耳障りな高笑いからも明らかだ。


「散々舐めた口利きやがったよな? エウロの無念を果たす? あたしを倒して新しい時代に向かってく? いまの女も守る? うぎゃひゃひゃひゃ!! ぜーんぶ台無しだなァ!! おい!!」


 地べたへ仰向けに倒れ込むルーシ・レイノルズは、すでに満身創痍であった。胴体全体に巨大な一本傷が広がっていて、そこから流れる血はいたずらに寿命を減らしていく。


「ただまあ……オマエにぁお似合いだ。地べた転がって許しを乞う姿、昔を思い出して興奮するぜ?」


 ここまで煽られてもなお、ルーシはなにも発しない。

 スオミ・アウローラは溜め息をつき、もう価値のないものだと判断したのか、その銀髪幼女にオオハクチョウの翼を突き刺そうとした。

 だが。


『マスター、私たちは夢の子なのだろう?』


 そんな聞き慣れた声が脳内に響いた刹那、撤退していたはずのルテニアがスオミへ、巨大な波動を放つ。空気が震え、そのあおりを受けてルーシはスオミとの距離を半強制的に遠ざけられた。


「くっだらねえ」


 スオミがそう吐き捨てた頃、ルテニアは指の関節を鳴らす。身長150センチ程度の幼女が、その姿に不相応なバキバキッ、という低音を響かせれば、ふたりはまたもや激突する。


「ヒトモドキが調子乗ってるんじゃねえよ。慈悲で逃してやったってのによ」

「逃してやった?」ルテニアはらしくもなく乾いた笑い声を上げ、「悪いが、私を逃してくれたのはマスターだ。貴方ではない。空虚で無価値なスオミ・アウローラ」

「あぁ!?」


 スオミは怒号とともにルテニアとの間合いを縮める。そして彼女の顔面をなんら容赦なく破壊した。

 ルテニアは重たすぎる拳の前に立っているのが精一杯だが、それでもスオミへ向けて殴り合いを挑む。その幼女は、決して折れない。


「いってえなぁ!! おい!! クソ生意気なところはルーシとそっくりだな!?」

「当たり前だろう……!! 私はルーシの妹で娘だ!!」


 だが、そもそも精疲力尽であったルテニアに勝ち筋などない。

 勝ち目のない戦争に挑んで、やはりすべてを奪われる。


「うぐッ!!」

「おお、ちゃんと赤いオイルが出るじゃねえか」


 手始めに腕をもぎ取られ、耳をちぎられ、流れる汗の塩分が傷に染み渡った。


「馬鹿ガキどもが」


 なおも闘う姿勢を崩さないルテニアへ、スオミは苛立つ。こうなれば完全に生命活動を停止させるほかない。


「おらぁ!! ヒトモドキの心臓ってのはどんな形なんだい!?」


 スオミ・アウローラはルテニアの心臓部分を抉り、彼女の胸周りからなにかを奪った。


閲覧ありがとうございます。

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