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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
247/290

乾く笑い声(*)

「はあ、はあ……。宇宙方面軍は脆弱性だらけだ。勝敗を分けたのは軍歴の差だったな、ポールモール中佐ァ!!」


 旧魔術でミサイルが直撃しない距離まで離れていたアルファベットはニタリと、乾いた笑い声をあげる。


「ははッ……、騙し討ちのアルファベット、まだ時代に置いてかれてねェぞ?」


 もう死体も残っていないだろうし、空間移動の精通者であるポールモールが死ねば、連中がロスト・エンジェルスへ逃げる手段もなくなる。

 これで、勝ちだ。それが故、アルファベットの笑い声は乾いている。


「別にアンタをぶち殺す必要なんてなかった……。強いアンタのことを尊敬してたからな。そうさ。ははッ。ははっ、はははッ……」


 そんな中、ついにD-スペックが姿を現す。アルファベットは彼に敬礼し、D-スペックもそれに応えた。


「ポールモールを殺ったか」

「ええ、まさか反目になるなんて思ってもなかったですが」

「ヤツは連邦政府の未来のひとりだった。もっとも、ロスト・エンジェルスの連中なんざ皆殺し確定だがな」


 タトゥーまみれでスキンヘッド、身体の前面がすべて見えるように軍服を羽織って、異様な雰囲気を漂わせるD-スペックは、その吐き捨てるような言い草とは対照的に唇を噛み締めていた。


「それでも……まったくもって惜しいな。おれたちは分かりあえたはずなのによ」

「もう惜しんでもいられないでしょう。ロスト・エンジェルスから略奪した大量破壊兵器の照準は定められてる。あとは深呼吸し、革命と平等のために身を捧げるべきです」


 そんな会話を交わしたD-スペックとアルファベットだが、彼らは失念している。ポールモールという男が、なぜセブン・スターにもっとも近い人間のひとりだったのか。列強の軍集団並みとも評される7人の魔術師に匹敵する猛者の実力を。


 ピンッ、という音が耳をかすめた。まるで弓のように小さい音であった。

 その音の方向には、スーツと皮膚がボロボロになっているポールモールが立っていた。


「ッ!?」

「悪りィなぁ、大尉にD-スペック閣下。おれはもう、ロスト・エンジェルスの未来というには歳を食いすぎてるんだ。だがよ……」


 放たれた弓矢らしき物体は、植物のごとく変化しアルファベットの身体に食い込む。D-スペックがポールモールの攻撃に気が付き、アルファベットへ忠告しようとしたときには、すべてが遅きに失していた。


「ここにはアークがいる。ルーシもいる。ほかにも新しい時代を担ってくれる連中が揃ってる。だからせめて、アンタだけでも道連れにしなくちゃならねェわけだ」

「てめェ……!!」


 呆然とした表情のアルファベットと歯を食いしばるD-スペック。

 そんな状況で、土色に変化した弓矢は、やがて発火し始めた。

 アルファベットの内蔵が燃え盛る。心臓すらも炎に包まれる。


「ぎゃあああああッ!!?」


 やがて内部に及んだ炎は身体の外側にも現れ、アルファベットはのたうち回りながら絶命のときを迎えた。


「『SHA』打っておいて正解だったな……!! あとは頼んだぞ、アーク、ルーシ!」


 22時00分、帝都ゲルマニカ中央部分。連邦国防軍、元中佐ポールモールと元大尉アルファベットの対決。

 勝者、ポールモール。

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