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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
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騙し討ちのアルファベット(*)

「おお。ポールモール中佐にアーク・ロイヤル少佐ではないですか」


 目つきが笑っていない、とはこういう目を指すのかもしれない。口調とは裏腹に、アルファベットは憤怒に満ちていた。


「ああ、久しいな。アルファベット大尉」

「ええ、まさか貴官が無法者どもに手を貸すとは思ってなかった。……クール・レイノルズによォ!!」


 憤怒は殺意に変わった。緑色の長髪に無精ひげを生やしている連邦国防軍“元”大尉アルファベットは、瞬く間にアーク・ロイヤルとの間合いを狭めた。


「ディーさんのところへは行かせねェ!! なあ、元王族!!」

 ──しまったッ! 間に合わない!!


 アルファベットの爪は龍のそれのごとく巨大化し、威力を増している。突かれれば、そもそも瀕死のアークは一発で終わりだ。

 しかし、ポールモールがなにもせずに見物しているわけもない。


「アーク! 気合入れ直せ!! この分からず屋はおれが仕留めておくからよ!!」

「は、はいっ!!」


 もはやこの場に残ってもポールモールの邪魔になるだけ。ならば魔力が濃すぎてまったくD-スペックが見つからない状況下であろうとも、アークは挑むしかない。


「仕留める、だとォ!? 中佐、アンタ軍から離れて何年経ってると思ってるんだァ!? その間もおれは……アンタが見たくなかったモンに向き合ってたんだぞ」

「向き合いたくねェものなんざいくらでもある。D-スペック少将の気持ちを汲んでやったらどうだ? 革命と平等の精神とやらを」


 ポールモールは強力な“悪魔の片鱗”を扱える。万が一にも負けるわけがない。そう信じ、アークは駆け出していった。


「ただまあ……オマエと少将はどのみち詰みだ。この状況、まくれると思ってるのか?」

「不利なのは承知の上だ!! ああそうだ、おれとディーさんは世の中を変えたいから軍人やってたんだよ。要するに、すべてはいまのためにある……!!」


 されど、アルファベットにも勝機はあるはずだ。もし勝機がないのであれば、それはただの犬死にとなってしまう。


 そして、アルファベットの勝ち筋への一歩は、すでに放たれている。


「なあ、中佐殿。おれが頭に血ィ上ってると思ってるのか?」

「思ってねェよ。昔からキレた振りで騙し討ちしてたもんな? 騙し討ちのアルファベット大尉」

「だろうな。ははッ……。さて、ぶち殺す」


 ポールモールの脳内に恐ろしいことが起きるという警鐘が鳴り響く。彼は即座にテレポートし、一旦アルファベットとの間合いを遠ざけた。

 だが、緑髪のアルファベットは天空を指差し、ポールモールをあざ笑うかのような表情を浮かべた。


「宇宙方面軍が持ってる軍事衛星からのミサイル。こんなもの回避できるヤツなんざいないよなァ!?」


 アルファベットは両手の間にバリバリッ!! という魔力の塊を生み出す。


「ンだァ? お得意のハッタリか? ヒトの意志がねェミサイルを魔術で制御なんてできるわけねェだろ。舐めるのも大概にしろよ」

「いいや……舐めてるのはアンタさ。ポールモール中佐!!」


 天空を見上げる間でもなかった。轟音とともに、ポールモールの頭上にミサイルが落下したからである。ポールモールどころか戦艦セーラムの残骸をも完全に破壊する弾道が、ついに襲いかかる。


閲覧ありがとうございます。

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