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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに

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正義とは(*)

「ああ……。嬉しいわ、アーク。貴方は私を見てくれるのね。たとえ女の子になったとしても、貴方は私のお兄ちゃんだわ」

(気色悪ッ! どういう表情なのそれッ!?)


 もう怒る気もなれないので、適当な魔術でキャメルを引き離そうとしたとき。


「よう」

「ポールモールさん、キャメルが──ポールモールさんッ!?」

「ああ。アニキのご令妹(れいまい)と同じく極秘で船乗ってたんだ。隠してて悪かったな」

「……、ルーシの命令ですか?」アークは目を細めた。

「まあ、一応おれの雇い主はアイツだからな。そういうことになるのかね」


 そう言い、ポールモールはアークとキャメルのもとまでテレポートする。そしてキャメルに触れてしまい、さっさと彼女をどこかへ追い払った。


「え? キャメルをどこへ運んだんですか?」

「ちょっと離れてもらっただけさ。なに、移動した先にはスターリング工業の幹部が揃ってる。それでもご令妹が殺されるようなことがありゃ、おれはアニキの前で焼身自殺だな」


 本心なのか冗談なのか……いや、本気だ。そんなこと、彼の目つきを見ればよく分かる。


「さて、アーク。D-スペックのもとへ向かうぞ」

「こんなに魔力が濃くなってるのに、D-スペックを探知できるんですか?」

「できるさ。腐っても連邦国防軍の中佐まで上り詰めた男だぞ? おれは」


 そういえば、ポールモールは退役軍人らしい。特訓の際にそう言っていたのである。『自分で言うのもあれだが、あのまま軍人続けていたらセブン・スターにもなれた』と。


「……ポールモールさん、ひとつ訊いて良いですか?」

「なんだよ、もう時間ねェぞ?」

「なんで国防軍から退役したんですか?」

「ああ……。それか」


 ポールモールは一旦溜め息をつき、どこか感傷に浸っているような表情を浮かべながら言う。


「連邦国防軍の……いや、連邦政府の腐敗臭に嫌気が差しただけだよ。オマエも見てきたはずだ。いまから守ろうとする国がどれだけ腐ってるか」

「……そうですね。奴隷貿易に先住民虐殺、他人の土地へ勝手に押し入り一方的な併合の宣言。ここまで自分たち以外の人権や自由を否定してくるとは思いませんでした」


 怪物と呼ばれる種族から奴隷を購入し、安価な労働力として死ぬまで働かせる。

 資源や地政学的に重要だとみなした土地に暮らしている先住民のジェノサイド。

 ほとんどヒトの住んでいない場所の獲得だと市民たちを欺き、滅多殺しにした先住民の遺体の上に掲げられるロスト・エンジェルスの国旗。

 これが、200年先の技術力と倫理観を兼ね備えたはずの国の正義であった。


「でもま、そこはクールのアニキが改革を行ってる。意味のない殺生をやめさせ、少数種族への迫害も法律で禁じ、新たな植民地の獲得も凍結してる。いまだったら軍隊に戻っても良いかもしれん──」


 ポールモールがそう言い切ろうとした頃、D-スペックの副官アルファベットがふたりの眼中に現れた。

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