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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
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夢の果て

 スオミ・アウローラは高笑いを飛ばし、自らの赤い目を光らせた。


「こりゃすぐに戦線復帰するだろうな!! ルーシ! だがよぉ……!!」


 うめき声を上げながらゾンビのごとくスオミへ迫りくる“死んだほうが良いヤツら”。しかし、この程度でうろたえていたらゲルマニアの武人皇帝は務まらない。


 スオミは背中にオオハクチョウのような、美しい白い翼を展開させた。それらは次々とルーシから魂を抜かれた連中を串刺しにしていく。彼らはやはりゾンビのごとく弱々しい声をあげながら絶命していった。そして数分も経たないうちに、“死んだほうが良いヤツら”はほぼすべて死に絶える。


「雑魚が何千人攻めてきてもいっしょだ。なあ、ルーシ……!!」


 オオハクチョウの翼を広げたスオミ・アウローラの背後には、普段の嫌味ったらしい笑みを捨て去ったルーシ・レイノルズが立っていた。


「よう。腐れ外道」

「おう、誰に向かって……口を利いているんだい!?」

「てめェに決まっているだろ、私の……いや、おれたちの尊厳を返してもらうぞ」


 どのみち魔力が尽きたらなにもできない。補給も期待できない。ならば最初から全力だ。この場で出し惜しんだら、後悔しても後悔し切れない。


 金鷲の翼がルーシの背中に広がる。それは空へ向けて100メートル程度まで伸び、いまのところ晴れ渡っている帝都ゲルマニカの天候を塗り替える。すなわち、大雷鳴が発生したのだ。


「一瞬で決着をつけようってか!? このあたし相手に!?」

「てめェだから一瞬で終わらせたいんだよ」


 目が血走るスオミ・アウローラ。ひとつの都市区画に降り注ぐ大量の雷は、やがて一点に集中し始めた。

 ルーシは集まった雷のエネルギーを使い、なぜか突っ立っているだけのスオミへ向けて、災害のように膨張した雷槌を放つ。


「おお!! すげえなぁ!! これがあたしとオマエの夢の果てだ!! なあ、ルーシ!!」

「誰がオマエなんかと夢をつくるかよ……。エウロの無念、ここで晴らさせてもらうぞ!!」


 金鷲の雷槌が放たれた。その凄まじい威力は、すでに交戦を開始していたメリットやネイト、まだ闘いに挑んでいないアークやD-スペックらを静止させるほどであった。

 しかし、それでもなおスオミは背中に数メートル程度のオオハクチョウの翼を広げ、突っ立っているだけだった。


(……なにがしたいんだ? 体の良い自殺じゃあるまいし)


 訝るルーシだが、人間ごときが災害に勝てるわけがない。足がすくんで動けなかったのかもしれない。いや、そんなことはスオミの性格上ありえない話だが、その推論しか立てることができなかった。


 そして未だ雷鳴が鳴り止まない中、ルーシは思わず冷や汗を垂らした。


「なあ、ルーシ。結局てめえは既存の物理法則に従って超能力を使ってる。あたしが開発してやった超能力ってのは、既存の法則・現象を塗り替えるものだったはずだぞ?」


 スオミ・アウローラはそれが当然だと言わんばかりに、無傷だった。


閲覧ありがとうございます。

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