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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
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目的なき怪物

「手ぇ合わせて神様に懇願ってか!? この世に神がいるのなら見せてみろよ! ソイツすらも粉々にして……またオマエを絶望の果てまで叩き込んでやるよ」


 血が詰まってろくに言葉も出せないルーシは、らしくもなく神へ祈っていた。こんなときだけ人間を超越する存在に救いを求めるなんて、どうかしていることくらい分かっている。そんなこと、スオミに指摘される必要もない。この修羅のような世界で、どんな神が、どんなふうにルーシを救う? もう救えきれないほど殺してきたくせに、奪ってきたくせに。


「う、るさい……。奈落の底に落ちるのは……オマエだ!!」

「ああ、そうかい。オマエにしちゃずいぶん退屈な遺言だな」


 スオミ・アウローラはルーシに関心を失ったかのごとく、ついにちいさな幼女ルーシの頭を叩き割ろうと脚を踏み込んだ。


 だが。


(……あ? なんで脚が動かねえんだ?)


 オーロラのような現象がスオミの脚を包み込んだ。何物かが魔術でも使って身体を動かせなくしているのだろう、と思ったスオミは、あたり一面を見渡す。しかし、近くにヒトの気配はない。そう、ヒトの気配は。


「おう、なぜ止める……。てめえらだってコイツがいなければ苦しむこともなかったんだぞ?」


 スオミはドクドク、と眉間にシワを寄せる。


「悪いね。生まれてきて苦しいと思ったことはない。無慈悲な時代だが、生きているだけで丸儲けというのは事実かもしれないな」


 かつて夢の子になるはずだった、そしてスオミに台無しにされたエウローペーとの約束の証、ルテニアがそこに立っていた。


「なるほど、じゃああたしが教えてやるよ。てめえらに夢やら希望は必要ねえって」

「マスターが()()()()()()と言った理由がよく分かるよ。スオミ・アウローラ、貴方には信念もなにもない」


 明らかに対峙し始めたルテニアとスオミ。ルーシは動かせない身体を、出せない声を振り絞り、ただ無我になったかのごとく、彼女を止めようとした。

 そんなルーシの表情を見て、ルテニアは“マスター”であり“親”を自称するオリジナルに微笑みかける。


「マスター、信じてくれ。貴方がどれだけ苦しい思いをしたのかは知らないが、もうそんな顔のマスターを見たくない。それがみんなの総意だ」


 ルテニアとスオミの激突が始まった。


(無理だ……。私、いや、()()でも敵わないスオミにオマエが勝てるわけない)


 生き残ることに精一杯だった表情が青ざめていく。また、失うのか? 

 そして、状況はルーシなんかよりよほど無情だった。瞬発的に現れたマーベリックに回収され、ルーシは戦線離脱を余儀なくされたのである。


「マーベリック……いや、ミク。離せ。もう、自分の子どもが殺されるところなんて見たくない……」


 マーベリックはなにも言わず、ルーシを安全な場所までテレポートさせた。

屈辱の敗走から巻き返しなるか


いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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