表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十幕 やがていつか、みんなでいっしょに
236/290

法による支配

『結婚しようよ、ルーシ!!」

『赤ちゃんがいるんだって! 私とルーシの子だよ! きっと夢の子になるはず!! だって、世界は変わるもん! 自分の望むほうへ!!』

『なんでルーシの子か分かるって? 直感! それに、子どもつくった子どもなんてスオミも嫌がるはずだよ!』

『スオミの支配から逃げられれば、きっとルーシも笑える日が来るって!』


『ああ? エウローペーのガキが妊娠したって? ガキがガキつくってどうするんだい?』

『しゃーねえ。ヤツは稼ぎ頭だが、ルーシを誑かすくらいなら死んでもらうしかない』

『ルーシはあたしの従順な奴隷だ。能力の開発までしてやってるんだ。逃さねえよ』


『はあ、はあ……。ルーシ、ごめん。スオミにバレたみたい。内蔵焼かれちゃってさ……。お腹にいる赤ちゃんも助からないって』

『げほっ……。たぶん私も死ぬみたい……。ごめんね。ルーシを独りぼっちにしちゃって』

『こんな生き地獄、死んだほうがマシなのかもね……』

『でも……きっとあの世でまた逢えるはずだよ! 絶望も希望もふたりで分かち合ったんだから!!』

『……お願いだからそんな顔しないでよ。涙目なんて似合わないし、今生で別れるだけだもん』

『赤ちゃんの名前は決めてあるんだ。『ルテニア』って名前。ねえ、ルーシ。これから死ぬ人間が言うのもあれだけど、生き残ってね。生き残って『ルテニア』の名前を持つ子をつくってあげてよ──』

『ぐっ……!! も、う会話できないや……。へへっ……。ルーシ、いらない希望を持たせてごめんね』


『よう、エウローペーはくたばったか。……あ? なに睨んでくれちゃってるわけ?』


『オマエの実力じゃあたしには敵わねえよ。分かりきったことだろうが。どれ……あんなビッチのことなんて忘れられるくらい“愛してやる”からよ……!!』


 *


 18世紀末期、ゲルマニア連邦帝国の帝都ゲルマニカ。数世紀もの間、ゲルマニア人が重ねてきた歴史と誇りは、超弩級戦艦が帝都中央に落下したことによって崩壊した。まるで核兵器でも撃ち込まれたかのように街は燃え盛り、ほとんどすべての生き物は死滅したのである。


「アヒャヒャ!! おもしれえなぁ!! ディーがいなかったら一気に占領されるところだったぜ!! だが……!! ルーシ!! オマエごときの考えを読めねえとでも思っていたのかい!?」


 スオミ・アウローラは大炎上する教会の前で笑い散らす。その傍らには、ぐったりと倒れ込む幼女ルーシがいた。


「これで船に乗っていた連中も全滅だろうな? おい、ルーシ。昔教えてやったはずだ!! 『法による支配からは誰も逃れられねえ』と!! あたしはこの世界の法則そのものだ!! あぎゃひゃひゃひゃ!!」


 異質な高笑いを飛ばし、スオミはルーシの頭をかち割るべく脚をあげた。


「──へえ……」


 しかし、それでも地べたを這いつくばってルーシは逃げようとする。


(こんなところで死んでたまるかよ……。ようやく復讐の機会が目の前に来ているんだぞ?)


 血反吐を吐きながら、意地だけを張り続ける。胴体こそ欠損していないから、この場を切り抜ければまだチャンスはある。


 でも、どうやってそんな好機をつくる? ……アークでもメリットでもポールモールでも峰でもキャメルでも、誰でも良い。誰か、哀れな少年を、もはや少年でもない幼女を救ってくれ。


SEASON3 CHAPTER4『限界を越えて、新しい時代へ』スタート!!


いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ