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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ
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ジョン・プレイヤー VS D-スペック(*)

 ゲルマニア北海沿岸。大振動が何度も吹き上がり、どんな生き物も逃げるために必死だ。例外なのは、ジョン・プレイヤーとD-スペックだけである。


「おお、ディーさん。アンタもう引き返しのつかねェところまで来てるんですわ。外患誘致に“人道に対する罪”や“平和に対する罪”も適用されるだろーさ。それでもアンタは正しいことしてるつもりなんですか?」

「おう、若造。ロスト・エンジェルスの掲げる正義が詭弁と偽善だらけなのは知ってるだろ? おれァそれに加担しちまった。罪は決して消えない。だったら……せめておめェとアーク・ロイヤルに引導を渡してやるべきだろうが。罪の意識に苦しまねェようにな」

「残念だけど、おれは罪の意識なんて感じたことないですね。そんなモンいちいち覚えてたら軍人なんてできねェでしょう」

「ああ。オマエらしい言い草だよ、ジョン……!! おめェもいつの間にかくだらねェ大人になっちまったんだな!!」


 D-スペックの魔力が膨張する。自身の破壊力抜群の魔力を放つ『レクス・マギア』を繰り出すか、魔力を身体中にまとわせ様々な付与効果をもたらす『悪魔の片鱗』で近距離戦へ持ち込むか、そのどちらかだとジョンは踏んでいた。


 だが、D-スペックは裏をかいてきた。自身の魔術を熟知しているジョン相手に、あえて新魔術で挑んできたのだ。


「うおッ!! 見えざる手か!?」

「昔からうろたえる振りも得意だよなァ!? ジョン!! だがコイツァおめェの知ってる手じゃねェぞォ!!」


 そう。ジョンはD-スペックの新魔術、通称『見えざる手』の効力を知り尽くしている。もう十数年同僚だったのだから、嫌というほど彼の新魔術のパターンも防御方法も知っている。だからか、ジョンはまるで焦っていなかった。サングラス越しの目つきはニヤリと笑っているほどだ。


 しかし。


「──グォ!?」

「なあ、ジョン。オマエが努力家なのは知ってるが、その頑張りの範囲には情報収集もあるはずだ」

「……そりゃ、そうでしょうが」


 首を締め付けられるジョン・プレイヤー。このままでは酸欠で負ける。それでも、D-スペックが本気でロスト・エンジェルスを滅ぼそうとしている以上、国防の最重要人物がここで殺られるわけにもいかない。


「アンタも努力家だもんな……、ディーさん。だからおれらは盟友だったんだろう……!!」

「情に訴えかけるつもりか? オマエのことは好きだが、同時に死んでもらわねェと愚民どもの目が覚めねェ。そうだろ? 植民地獲得のときに散々見たはずだ……小銭のために売り飛ばされる人々を!! 良いか? 人種や種族が違うからと、どんな者も奴隷にして良い理由にはならねェ!!」


 刹那、ジョンの背中に2枚の白い翼……まるでハヤブサのそれのようなデザインをしたものが広がる。それらは十数メートルまで伸び、発現の際に発生した魔力の所為でD-スペックの新魔術が跳ね返されてしまった。


「あーあ、痛かった。ディーさん、アンタの言いてェことは良く分かった。だからふたつ返事しておこう」


 ジョンは長めの髪をかき分け、らしくもなく緊迫した表情のまま告げる。


「まず、おれはアンタにァ殺せねェ。こんなところで死ねねェんですわ」


18世紀末期に『平和に対する罪』や『人道に対する罪』があるのか……

いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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