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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ
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連邦反撃

「ははッ……、そうさ。理想の政治家すらも築き上げてやったんだ」


 なぜかは分からないが、面白くてたまらない。クールが怪訝そうな表情をしているが、気にもとめずルーシはケラケラ笑い続ける。


「クール、もうED患者みてーに静まり返るのは終わりだ。勝てる戦争を終わらせ、莫大な富をロスト・エンジェルスにもたらすぞ」

「……、ああ!!」


 焦点すら合っていなかったルーシの目に覇気が灯った。ここから先は勝てる戦争に勝つだけだ。


 *


「病み上がりのオマエらにこんなことさせるのも酷だが……」


 昼下がり。双極性の躁のごとく脳内麻薬が出ているルーシは、一応の治療が済んだメリットをひとけのすくない離島に移動させていた。


「オマエら? あのカマ野郎もなにかやってるの?」

「私の仲間に稽古つけさせている。アークは魔力が多いし成長の余地も広い。ただ、オマエはそうじゃない。魔力はすくないし、努力のし過ぎで現実的に使える魔術は開発済みってな」

「まあ、そうだけど」

「そこで、やはり新魔術が必要だと感じてさ」


 素直に評価するのであれば、メリットは強い。そしてその強さの根幹にあるのは、通常の魔術より威力や範囲で劣るが、術式を理解するのが簡単な旧魔術のエキスパートという点だ。複数の旧魔術を組み合わせて闘うメリットは、いわば器用な方法をとっている。


 が、この状況下であえてメリットを強化したいのであれば、どうあがいても新魔術を理解させるしかない。


「立ってるのも精一杯なアンタと私で魔術なんかつくれる?」

「こんな状況、何千回と経験してきた。問題ない」

「ま、私もあとすこしで出撃しなきゃならないし……四の五の言える立場でもない」

「なあ、メリット」

「なに?」

「私は恋人と友だちが連れ去られ、しかも誘拐犯が必ず殺したいヤツだ。だから魔力を開放しないと歩くこともできないのにゲルマニアへ向かおうとしている。アークに至ってはこんな状態でも闘わざるを得ない立場だしな」ルーシは一旦言葉を区切りメリットの目を見据え、「だけど、オマエには私怨もないし義務もない。それなのに血みどろの殺し合いに身を投じるつもりだ。そこが不思議でな」


 メリットはいつもの調子でタバコを咥え、物憂げな表情で言うのだった。


「正直、絶壁とお姫様のためだけに死ぬ気はない。でも、あの子たちを連れ去られたことには私も責任を負う必要がある。人命が懸かるほどの責任があると、逃げようにも足がすくんでくるしね」


 苦笑いが似合いそうな場面でも、メリットは表情筋を使おうともしなかった。


「いつか利用されるぜ? 責任感の強さは」

「アンタに言われたくない」すこし笑みを浮かべ、「クソガキ。アンタ、なにやらつきものが晴れたような表情してる。わだかまりは消えたみたいね。これだったらなんとかなるかもしれない」


 悩んでいる暇なんてない。反撃開始だ。


やっぱりこのふたりが一番好きです(KONAMI)


いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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