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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ
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ヘーラーの受難

ここから先は延長戦である。

まず、真っ先に行わなければいけないのは、パーラとメントの解放作戦だ。次点で国内外に潜む不穏因子の粛清。後者はどのみち行おうとしていたが、前者はまったくの予想外。

されど、目標が同じ場所にいてくれているほうが二度手間にならない分良いのかもしれない。


そんなわけで、ルーシは一旦自宅へ戻ってきた。


「……。なんでオマエら、私の家にいるんだ?」


が、なにかがいる。最前、MIH学園の屋上にいた変人どもがいた。赤髪の少年とピンク髪の女だ。名前はリヒトと……訊いた覚えがない。


「社長!! ここはおれが社長から借りてる家だぜ?」

「貸した覚えがないな」

「えーッ!! じゃあおれ不法滞在ってことになっちゃうじゃん!? カネねェんで住ませてくださいよぉ社長ォ!!」


泣きながら抱きついてきやがったので腹部へ蹴りをお見舞いし、「面倒だから好きにしろ」という黙認宣言をする。本当に面倒くさいのだ。この手のタイプを相手するのは。


「んで? オマエはなんでここにいるんだ?」

「私もルーシさんから許可を受けてここで暮らしていました!!」

「なるほど……」


ふたりが家にいた時間は知らないが、すでにものが散乱しきっている。ルーシはきれい好きなので、コイツらが散らかしたのであろう。そう考えると(別に証拠もないが)目の前にいるピンク髪の女を無性に殴りたくなった。


とはいえ、無駄な体力を使いたくないのも事実。このひな鳥みたいに喧しいヤツらの声は遮断して、ルーシはスオミに勝つための最小条件を整え始める。


「記憶が戻らず進むのは自殺だな。だが、私をここへ(いざな)ったヤツが必ずいるはずだ。ソイツを詰めて前世の記憶を渡すようにすれば良い。ただ、それをやるには……」


「ルーシさん!! 私がルーシさんをロスト・エンジェルスへ転生させたんですよ!?」

「そうだぜ!! 社長ォ!! ヘーラーちゃんが社長を転移させたんだ!! つか、おれらの声聞こえてねェ──!?」


兎にも角にも騒がしいふたりに裏拳を食らわせたあたりで、ルーシはようやく彼らの言っていることを理解する。


「何事も準備が肝心だな。転生した直後には必要ないと思っていたんだろうが……生かしておいた価値があった」


こういうとき、日記というものは案外役に立つ。転生初日に自身の筆記で記したところによれば、ルーシをロスト・エンジェルスに送り込んだ者はヘーラーという天使らしい。そして付属していた写真には、ピンク髪の女の姿があった。


「おい、ヘーラー。日記見る限りオマエはポンコツのようだが、さすがに前世の記憶くらい残してあるんだろ? それ寄越せ──」

「ルーシさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


散々飯を待たされた犬のごとく、ヘーラーがルーシに抱きつこうとしてきた。が、頭突きを食らわせることで無駄な時間をカットし、鼻血を垂らしながら涙目になるヘーラーへ告げる。


「前世の記憶のバックアップを寄越せ。何度も言わせるな」


そんなものはありません、とは言えない雰囲気である。ヘーラーの受難が始まった。


頑張れヘーラー!! 次はリヒトにも詰められちゃうかも!? あ、チャプター3開幕です。

いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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