陽キャも陰キャもみんなで踊りましょう(*)
「うわあああ~」
かなり呑気な断末魔とともに、ルーシたちは落下していった。メリットは苛立ちのあまりタバコを咥え始める。
「しかし……あれほどの強化クローンを用意してたわけ? だったら……」
足音が聞こえる。ここまで侵入し切れていないだろうと思いつつも、メリットは魔力を身体に集結させて戦闘準備に入ろうとした。
が、そこにはMIH学園を守るべく立ち上がった有志たちがいた。
「メリット?」
かつて自分を『最高のライバル』と言い、『この学校で一番骨のある子』とも言った少女キャメル・レイノルズは、ところどころに垣間見える傷跡に驚いているようだった。
「ルーシのところのNo.2がこんなにやられるのかよ」
杖をついていた、しかしいまは魔力を使い一時的に歩行できるようになったのであろうシエスタ。彼はあのルーシが持つ派閥のNo.2がここまでやられることを想定していなかったのであろう。
「先輩より上なのってアークくんかルーシちゃん~? ……こりゃ相当キツイようで~」
どことなく緩く話す赤髪の後輩ラークは、その飄々とした性格に似合わない態度であった。
「……。最悪。なんでみんなで集合しちゃう? ここに首を獲れば大金持ちになれるヒトたちを集める意味ってなに?」
なかなか辛辣なお言葉だが、実際メリットの言ったことは正論だ。
こちら側はとにかく戦力が足りない。この陰謀を生み出した者をルーシが倒すまで、有志たち5人で乗り切らなければならないのだから。いつ即死術式が飛んでくるか分からない以上、バラバラに行動したほうが良いに決まっている。
「おい! みんなは心配だから来てやったんだぞ!? あたしたちはこの学校を守らないといけねえんだから!!」
「それはありがたい話で。んで? アンタはなにか戦果あげたの? 絶壁三白男日照りさん」
「ま、まだだけど……」
溜め息をつき、「この際死んじゃえば陽キャも陰キャもない。だから言う。バラバラに動きつつ、誰かが負傷した際に他の有志へ救援頼めるように常時監視し合う。助からないと思ったら潔く小規模爆発でもして。分かった?」高圧的な態度で宣言した。
その発言に他の者は黙り込むしかなかった。心配だからという理由で同じ学校の生徒を全員で助けに行こうとすれば、その分リスクは高まる。侵入し放題になってしまうからだ。守ろうとする者がいるのであれば、メリットの言うように最後は自爆してでも敵を道連れにしなければならないのだ。
「……よし!! 行こう!!」
「ああ!!」
「行ってきます~」
迅速に去っていった有志たち。場にはメリットと……なぜかキャメルが残される。
「なに?」
「アークにその罵倒力を分けてあげてほしい……じゃなくて!! メリット。ひとつ訊きたいことがあるのよ」
地面に倒れ込むヒューマノイド。顔貌は見るも無惨。顔も身体も粉々になっている。
「この子、ルーシちゃんの魂を分けられてできたクローンよね?」
メリットの毒舌がアークに備わったらお姉ちゃん無限に発情しちゃうよ
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