ビックニュース
ところ変わってMIH学園。学園が復興したことに合わせてビックニュースを発令するらしい。
それは1時限目の授業が始まる前に宣言された。
『MIH学園は、本日をもって生徒のランク制度を廃止します』
無機質な天の声に、パーラはあからさまに驚いていた。
「ランク制度がなくなるの? メントちゃんせっかくランクAになったのに! あんまりだよ!」
傍らにいたルーシは憤りを見せるパーラに対して、「それに変わるシステムを導入するんだろ」と冷静に答える。
「別のシステム?」
「いま、ロスト・エンジェルスは『カテゴリー』と『評定金額』を全市民に適応しているだろ?」
「んー……。私それよく分かんないだよね」
「『カテゴリー』はもともと政府が全市民に発行していた評価だよ。私はカテゴリーⅥだし、パーラはおそらくカテゴリーⅠかⅡだと思う」
「評価基準は?」
「魔術の腕前に精神力、魔力量とかを総合的に見て算出するらしい」
「あ~! だったら私のカテゴリーはⅠかⅡだね!!」
魔力が少なければ魔術も使えないパーラだが、最底辺の評価をくだされてもあまり気にしない。
「でもルーちゃんがカテゴリーⅥか~。それより上ってあるの?」
「セブン・スター専用のカテゴリーⅦがあるな」
「アークくんはカテゴリーⅦってこと?」
「そういうことだな。ただまあ、カテゴリーと評定金額が比例するとも限らんのさ」
近くにいたメントは失意に沈んでいた。
「せっかくランクAになったのに……」
おそらくシエスタも同様の理由で落ち込んでいることであろう。MIH学園で2番目に高位な序列から降ろされてしまったのだから。
「そんなに落ち込むな、メント。天の声を聞こう」
そしてまたもや無機質な声が聞こえてくる。
『ただいま、MIH学園における新たな枠組みを、ネットワークに公開しました。質問のある方は教員へ訊くように』
パーラは携帯電話を見てみる。そこへは、驚愕の情報が掲載されていた。
「ルーちゃんの評定金額10億7,600万メニー!? どういうことなの!?」
「そりゃ、私がすごいってだけの話さ」退屈げだ。
「オマエの金額が意味不明過ぎて、アークすら霞んで見えるぞ……? アイツ、セブン・スターなのに」
MIH学園のとった政策は至ってシンプルなものであった。金額による順位付けである。
「えっ!? メリットちゃんがキャメルちゃんより順位高いんだけど!?」
「これこそ下剋上だな」
現在、順位はこうなっている。
1位:ルーシ・レイノルズ
2位:アーク・ロイヤル
3位:メリット
4位:キャメル・レイノルズ
5位:シエスタ
6位:ラーク
7位:メント
8位:ホープ
以下略。
「……。ルーちゃん、私以外全員8位以内に入ってるんだけど」
「おお。そうだな。というかやはり女子比率が高いんだな、この学校は」
「なあ、ルーシ。あたしたちが派閥立ち上げれば敵なんていないようなモンだよな」
メントはどこか呆然としていたが、やがてそんなことを口にした。
「そうかもな。なら立ち上げるか」
まあ学生でルーシの盟友っていうんならアークの次にはつけてないと駄目だよね、的な話です。
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