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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第九幕 我らの祖国、ロスト・エンジェルスを守れ
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弱さをさらけ出せないという弱さ

「結局、記憶元に戻ったの?」


 ルーシは無言でイヤリングをホープに投げた。


「不完全も良いところだ。いつパーラの前でボロ出すか心配だったよ」

「なにこれ」


 ルーシがつけるにしては安っぽいデザインのイヤリングだ。この幼女、父親が国の大統領で本人もみんなが口をつぐむ方法で稼いでいるはずなのに。


「レイノルズちゃんと通信取れる無線機だよ。答えに困ったときアイツらが脳内に囁いてくれるのさ」

「パーラちゃんに嘘付き続けるってこと? 実のところ、記憶がまったく安定してないことを伏せて」

「嘘ではないさ。ただ、アイツをがっかりさせたくない」

「あの子はああ見えて鋭いよ。この10メニーで買えそうなイヤリングもいぶかるかもしれない」

「だな……」


 ルーシは生粋の嘘つきであり、偉大な魔術師だ。それだけは絶対に揺るがない、とホープは確信すらしていた。

 その要因は登校1日前の話に遡る。


 *


「記憶が不安定?」


 あのとき、ホープは久しぶりの登校にウキウキして制服と自分を鏡の前で重ねていたほどだった。

 そんなときに、ルーシからの一声を食らってしまった。


「ああ。パーラの顔は思い出せるんだが、性格があまり思い出せないんだ」

「良くも悪くもおしゃべりな子だよ。うちは良い子だと思ってるし、ルーシの恋人できるのはあの子しかいないとも感じる」それでも釈然としない表情の幼女を一瞥し、「……。本気で忘れたの? なら記憶が安定するまで会わないほうが良いんじゃない? 互いにとってよくなさそうな気がする」


 ルーシは頬杖しながら考え込んでいるようだった。やがて10歳程度の幼女は答える。


「いや、そもそもスケジュール的にパーラと会えるのはあしたくらいしかない。こう見えても忙しいんだよ」

「それをうちに言ってどうしろっていうの? 小声でこんな子だよ、ってささやくのも無理あるし」


 率直な疑問だった。ルーシはホープに頼るような人間ではない。自分の問題は徹底的に隠し通して、ときには魅力にも変えてしまう者だからだ。


「やはり他人に頼る人間でもなかったか、私は」ルーシは座りながら膝を中指で叩き、「正直、いまやっていることはヒットアンドアウェイ方式だ。目を覚ましたときのほうがマシだったかもしれないな」と珍しく弱音を吐く。

「……。それこそパーラちゃんに伝えるべきだよ。あの子は優しいから、どんなルーシだって受け入れられる」

「そうかもな……。ま、寝たら記憶が安定しているかもしれない。この話は他言無用で。おやすみ、ホープ」


 そう言ってホープの個人病室から去っていったルーシだったが、結局パーラとの思い出も思い出せないまま貴重な1日を始めてしまったのだった。


 *


「ま、久々に学校へ来たんだ。パーラとの時間を大切にするよ」


 予鈴が鳴って慌ただしいMIH学園へ、どこか哀愁漂う背中でその幼女は入っていった。


「弱さをさらけ出せないことが一番の弱さかもね」


 と、つぶやきホープも自身の授業へ向かっていくのだった。


 そんなホープのもとにある少女が現れる。

なんとなく、東山の小説ってお下劣な話はたくさんあるけど食事シーンとかまったくないですよね。これから増やしていければ良いなと思っております。

いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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