食って出して死ね
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そんなわけで食事の時間だ。どうせ食って出して死ぬだけの人生。ならば思い切り食らおう。
というときだった。
バコンッ!! という音とともに食堂と外を遮断する壁が破壊された。発泡スチロールのように粉々になった木材の向こう側から多数の虚無僧が現れる。
「チッ……」
ルーシは舌打ちして現場に駆けていく。
キャメルの思考が止まる。楽しいはずの外食にいったいなにが現れたというのか。
「あれはいったい……?」
「レイノルズちゃんだ」ルテニアが答えた。
「レイノルズちゃん?」
「姉のクローンだよ。敵性因子なのは間違いない」
「えっ……?」
「ただ心配はいらない。姉がなんとかするはずだ」
「……。さっぱり分からないけれど、私だって闘えるわよ?」
「いや、これは姉が解決すべき事案だ」
杖を捨て去ったルーシを心配しているようだが、同時にキャメルはあの幼女がどれだけの怪物なのかも忘れてしまったのだろうか。ただ記憶がなくて、ただ歩行に難があるだけでルーシという怪物は揺るがない。
「よォ!! カタギが飯食っているところに攻撃仕掛けるとは、趣味が悪りィな!!」
「貴様ほどではない」
「私をつくり放置し目的すら奪った貴様は」
「その罪の重さに引っ張られてしかるべきだ」
「リレーして喋るなよ。可愛げのねェ娘どもだな」
瞬間、ルーシの背中に黒い鷲の翼が広がった。長さ2メートルほどに抑えているのは、周りに被害が及ばないようにするためだ。
「それにたった3人でなにができるっていうんだい? おれはオリジナルだぞ?」
いつだかの戦闘でレイノルズちゃんの実力は把握済み。彼女たちは正直ルーシの足元にも及ばない程度の実力しか持っていない。
されど相手はルーシの模造品。思考は似通っているはずだ。ならばなにかしらの秘策を持っているに違いない。
「知っているか? マスター」
「私たちスレイブは」
「魔力をテレパスにして連携技ができるんだ」
瞬間、ルーシが攻撃を仕掛ける前だった。
ひとりのレイノルズちゃんが空中高く舞い上がった。ルーシの視線はそちらに移る。
しかしそれこそがレイノルズちゃんたちの狙いだった。
「貴様は動体視力が良すぎる」
かなりの高速で動いたレイノルズちゃんを捉えていたルーシであったが、言い換えると残ったふたりの動きまでは追えていなかった。
「──ぐあッ!?」
地上に残っていたレイノルズちゃんふたりは、ルーシの腹部に向けて拳をお見舞いした。つばを撒き散らしながら、ルーシはその場に倒れ込む。
それに加え、空中に舞い上がっていたレイノルズちゃんによる追撃が始まる。彼女は銀鷲の翼を展開し、ルーシのちいさな身体を引き裂くために羽根を動かす。
「てめッ……おれを引き裂けるとでも思っているのかい!?」
「思っているから攻撃したんだ」
それはただルーシを切り裂くためだけに動いていた。腹部への激痛でルーシは動けず、その攻撃をもろに喰らう。
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