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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第八幕 君は本当にルーシ・レイノルズ?
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縮地法を使いそうなレイノルズちゃん

 ルーシは黒鷲の翼を展開して、ロスト・エンジェルスを優雅に飛行していた。


「偉いヤツが間違っているのさ。ヒトは空くらい飛べる」


 目的地は『イースト・ロスト・エンジェルス市───ELA市ナース・ストリート0117』。そこまで行くのに翼を使ったわけである。


「さて、と」


 ルーシはいよいよ目的地周辺にたどり着き、指をゴキゴキ鳴らしながら地上へ着陸体勢に入った。

 ELA市。薄汚い街だ。そこら中に薬物の売人(プッシャー)がいてクスリに溺れる者も数知れず。

 地上へついて最初の感想がそれだから、きっと記憶喪失になる前のおれはこの街を本拠地にしていたに違いない、とルーシは確信する。


「ただ秩序が保たれているな。管理者がいるのか? おれの許可も取らねェで」


 管理している者がいるのならばソイツを潰したいが、ひとまず目的は医療に精通しているレイノルズちゃんだ。自分でした約束なので守る義務があるだろう。


「きったねェ家だな」


 ナース・ストリートの0117にはボロ屋があった。携帯電話のナビが間違っているとも思えないのでここが目的地だろう。ルーシはその木造でいまにも崩れそうな家をデコピンで木端微塵に粉砕した。


「おーい。仮にもおれのクローンなら生きているよな?」


 倒壊した建物の奥住には銀の髪の毛を伸ばしっぱなしにしている、不衛生な見た目をした幼女がいた。


「ああ、オリジナルか」

「オマエ、おれの座を狙っているらしいな。だったらサシで蹴りつけようぜ。どちらが正しいルーシか」


「それも良いが……久々に前代未聞の情け容赦のない無慈悲な入浴をしたくなってきた。決着はそれからで良いか?」


「要するに風呂へ入りてェってことだろ? ややこしい言い回ししやがって」


 ルーシは首をかしげる。

 そんな中、レイノルズちゃんはあくびをしながら立ち上がる


「……。パンツくれー履けよ」

「魔法のような医学探究に勤しんでいたら、パンツなぞ履いていられない」


 色々な薬品の汚れが染み付いた白シャツにノーパン。これと姿が似通っていると考えたら、なんだか恥ずかしくなってきた。


「ッたく……パンツつくってやるから履け」

「反目のマスターの命令を訊くスレイブがどこにいる?」

「ここにいるんだよ!! オマエがだらしねェとおれまで恥ずかしいんだ!!」


 ルーシは指を回して羽を生み出し、それに魂を吹き込む。ルーシの能力的にものをつくることは容易いが、まさかクローンの下着をつくるとは思いもよらなかった。


「ほら!!」

「好意はありがたく受け取ろう。だが白シャツにパンツだけでは公然わいせつになってしまうぞ?」

「このガキァ……!!」


 間違っちゃいないのでルーシはズボンもつくる。身長・体重共に自身と変わらないからこそ即座につくれるものの、だんだん情けなくなってきた。こんなヤツもおれの娘なのか、と。


「さて、もはや後悔しても遅い世界が震え上がる入浴タイムは──」

「冗長な言い回しをするな!! オマエは将軍様か!? 縮地法でも使うのかい!?」

いつも閲覧・ブックマーク・評価・いいね・感想をしてくださりありがとうございます。この小説は皆様のご厚意によって続いております!!

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