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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第八幕 君は本当にルーシ・レイノルズ?
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忘れることよりも

 その光景を見ていたルーシは思わず手を叩き、「すげェな、アイツ。おれの女にしてやっても良いかもな」と下衆い言葉を口走る。


 地上に降りてきたアークは、ルーシが宣言どおり一歩も動いていないことを知る。悪ガキみたいになっても根本はあまり変わっていないんだね、と思う。


「いやあ、アーク。かっこよかったぜ! おれの女になる気はないかい!」

「君幼女でしょ。それに恋人いるんだよ? 君にも、たぶんぼくにも」

「たぶんってなんだよ~」肘をグイグイ当てる。

「あれは厄介事そのものだから色々保留してるんだ。あの子たちのことは覚えてると思ってたけど」


「忘れるってのは悪いことじゃねェ。本当にいけねェのは思い出せねェことだ」ルーシは手を広げ、いつもの口調で、「たしかにずいぶん忘れちまった気がする。だけどな、おれの魂には必ず同胞たちが残っているはずだ。一目見て分からなかったとしても、いつか必ずソイツのことを思い出してみせる」


 ここだけ切り取ればいつもどおりのルーシだ。思考回路がつかめそうでつかめない。彼女の哲学は奇妙だからだ。

 しかしルーシが人々から魔力を抜き取った所為(せい)で街は見るにも耐えない。このままでは火事が起きると踏んだアークは自身の魔力を放出し、市民たちに配布する。


「あれ? なんで倒れてたんだ?」

「やべ!! 火事になっちまう!!」

「つか、あれアーク・ロイヤルじゃね?」


 街の一角に活気が戻ったところでアークは、「行こう」とルーシの手を自ずと引こうとする。

 そんなときだった。


「……。ここらへん一帯で魔力が消滅してたからまさかと思ったけど」


 クルクルした短めの黒髪に黒目、猫背にタトゥーまみれの身体。身長はアークよりやや低い程度で、不気味な雰囲気がねっとり漂っている少女。


「メリットさん」

「それはクソガキのオリジナル? それともクローン?」

「オリジナルだよ。話してみれば分かる」


 ルーシは瞬間的にメリットへ近づき、腕に彫られたタトゥーをまじまじと見つめる。


「へえー。トライアングルか。首には羽。なんというか、初心者が調べもせずに彫ってみました感満載だな」


 メリットの眉間にしわが寄る。このクソガキ、一度本気でしばいてやろうか、と言わんばかりに。


「でもまあ、悪くねェな。みんなタトゥーに意味を求めすぎだ。寝起きのダリィときに、自分の身体見渡してテンション上がればそれで良いんじゃねェの、って思うしな」


 自覚しているのかしていないのかはさておき、そのフォローは案外効いたようだ。メリットはいつもの無表情に顔を戻していく。


「オリジナル確定ね」

「でしょ。ぼくもびっくりしたよ。病院行ったら目覚ましてたんだから」

「まあ杖つく“レイノルズちゃん”がいるわけもない」


 会話にすっかりおいていかれたルーシは、「なんだよ~。レイノルズちゃんって何者だい? まさかおれのクローンとか? おもしれェじゃねェか」


「“おれ”?」メリットが怪訝そうな顔になる。

「あ? おれはおれだよ。オレオレ詐欺じゃないぜ?」

「ああ、説明すると長くなるんだけども──」

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