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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第一幕 銀髪碧眼の幼女(中身最強の無法者♂)、LTASに立つ
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バスト80、ウエスト56、ヒップ75

「さて、携帯は買った。あとは髪切って服買うだけだな」

「キャメルと服買わなかったのか?」

「ゴスロリなんて常時着られると思うか? 私は思わんな」

「我が妹ながら、変な趣味してんなァ……」

「というわけだ。キャメルが姿を見せねェうちに服を揃えよう。この国は寒いから、暖かい服に限るな」


 *


 要するに、全身が隠れる服である。そしてブラジャーと下着も必要だ。


「クール、いくら父親でも娘のサイズを測るのにいたらまずい。すこし待っていてくれ」

「姉弟の貧相な身体見たって仕方ねェしな」


 そんなわけでルーシはスリーサイズを測る。店員に話しかける間でもない。個室に入り、服を脱げば、勝手に身体へ適した服装を出してくれるらしい。


「バストが80。ウエストが56。ヒップが75、か。思ったより胸がでけェな。キャメルよりでかいんじゃねェか?」


 ルーシが知る限り、バストが80ならばBカップといったところだろうか。

 別に男どもの劣情を呼ぶ気もないので、体型はどうだって良い。

 しかし、またキャメルをいじる口実ができたことに、ルーシは鼻で笑う。


「だが、女もののブラジャーとか買ったことねェな。さっそく携帯の出番だ」


 ルーシは腕時計型の携帯を起動する。電源ボタンに指紋認証センサーがついており、起動するのに1秒とかからない。

 だが腕時計のサイズでは小さすぎるので、腕に情報を載せる。こうなれば、おおむね普通のスマートフォンを使っているのと変わりはない。服の上でもまったく歪まず表示されるのはすごいが。


「どれどれ……。トップバスト? アンダーバスト? 呼び方? もっと簡略化できねェのかよ。女って面倒だな」


 仕方がないので、ルーシは個室の電光掲示板にふれる。そこへは、ブラジャーとパンツ、服がいくつか提示されていた。


「高けェほうが頑丈だろうが、もしかしたら成長期が来るかもしれねェからな。あのポンコツ天使がどのようにおれの身体をいじったのかは知らねェが、ここはある程度値段の安いものにしておくか」


 とはいえ、このデパートは富裕層御用達である。安いブラジャーでも、平然と100メニーを超える。金は持っているものの、なんともバカバカしい気持ちにもなる。10歳児のブラジャーなんて大半の人間は気にしないだろうに。


「……ま、愚痴ばかりいってられねェ。さっさと買うもの選ぼう」


 前世、ルーシにも妹がいた。しかし、買い物に行ったらルーシの金で適当な服や下着を買っていた。だから自分で女物の服を選ぶという機会ははじめてだ。奇怪な気分になるが、受け入れるほかないだろう。


「総計……1350メニーか。なになに。店員がもう用意してあって、あとは買うだけだと。便利でなによりだ」


 ルーシはふと姿見で自分を見る。そこには全身がお絵かきだらけの幼女がいた。当然といえば当然である。


(この刺青まみれの身体もどうにかしないとな。ほとんど全部を改ざんしたくせに、刺青は前世とまったく変わっていねェ。学生やるのなら、墨は見られねェほうが色々と楽だ)


 アホ天使がどんな意図で刺青を残したのかは知らないが、こうなるとタトゥーも邪魔でしかない。


「ま、全部長袖と長いスカート、長いパンツだ。バレることはないだろう」


 気候が寒い国で助かっているところがある。現在は3月だが、最高気温が10度行くか行かないか程度なので、こういった長めで防寒性のある服を着ている人は多い。あまり10歳児らしくない格好かもしれない──16歳のキャメルの格好を見れば余計に子どもらしからぬ格好だが、大人ぶる幼女ということにでもしておけば良い。


「1350メニーです」

「はい」


 カバンから100メニー札を14枚取り出す。店員はあからさまに驚いていたが、ルーシは気にも留めない。


「え、えっと、50メニーのお返しです。ありがとうございました」

「いえいえ」


 もう煙草が吸いたい。まるでやったことのない行動をした所為か、脳内がニコチンとタールを求めている。


「……喫煙所へ行くか。つか、クールはどこ行った?」


 自由な男だ。時間にして10分も経っていないのに、彼はどこにもいなかった。一応携帯を購入した際にクールの表での電話番号は聞いてあるので、特に問題はない。


「たぶんキャメルもいねェだろ。髪切ってスーツ仕立てる前に1服しておくか」


 *


 屋上。非常に広い喫煙所にて。

 こんなに広い場所なのに、人はまるでいない。なにかイベントでもあるのだろうか。


「ま……関係ねェか」


 ルーシはベンチにもたれ、白に赤のアクセントがある12ミリのソフトパッケージ煙草を取り出す。のこり3本。クールの部下におつかいさせたほうが良さそうだ。


 そんなルーシのもとへ、

「またいつか会おう、っていってたくせに」

 メリットが現れた。


「しゃーねェだろ。喫煙所はひとつしかねェんだから」

「しゃーない? 9歳か10歳程度の子どもと煙草吸ってたら、こっちまで通報される」

「オマエこそ高校生だろ? キャメルから聞いたぞ?」

「……キャメル?」

「知っているだろ。MIH学園の主席だよ。私の叔母……というか、姉みてェなもんだ」

「……アンタは才能に満ちあふれてそう」

「まァな……」ダウナーな声である。


 ここでルーシは煙草に火をつける。吸い方は昔から変わらない。尊大な態度で吸うだけだ。


「アンタみたいなヤツが一番嫌い」

「あァ?」ルーシはメリットを睨む。

「才能にかまけて、与えられたチカラでどんどん出世していって……だから嫌い。ドイツもコイツも才能だけで勝って、なにが楽しいのかわかんない」


「そりゃおめェ……」ルーシは半ば寝転がるように手を頭の後ろに回し、「別に才能だけってわけでもねェだろ。偉大すぎる兄を持つがゆえに、いまある実力で我慢するっていう当然の判断ができないヤツだっているんだ。無能も有能も苦しんでいるのさ。そしてオマエは無能じゃない」


「……はあ?」

「去年の壮麗祭、キャメルが優勝したんだろ? 1年坊のくせに2、3年生を潰して優勝となりゃ、たいしたもんだ。だが、ソイツがいっていたぞ? 去年もっとも苦戦した相手はふたり。ウィンストンとメリットだって」


閲覧ありがとうございます。

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