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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第七幕 LTASの者たちよ、陰謀のその果てへ
165/290

泣いてる場合じゃない(*)

「……これ、私もいかなきゃならない流れ」


 メリットは渋々『悪魔の片鱗』を使い魔力を足の裏に配置し、空へ舞い上がった。


 シエスタたちはルーシを探していた。

 電気制御系統の能力は実のところ、避雷針的な使い道もある。雷鎚を華麗に打ち消し、ホープはシエスタに抱きかかえられながら崩壊した巨大天使の残骸に糸を引っ掛け移動する。


「見つけたぞ!」


 ぐったりして生気のない銀髪碧眼の幼女がそこにいた。


「ホープ、ルーシをつかんでやれ」

「うん」


 ホープの糸がルーシを捕まえた瞬間だった、シエスタがホープから離れたのは。


「あとはオマエらふたりで、地上へ戻れ」

「えっ?」

「とんでもねェのがいる。あの巨大天使の本体みてーだ。誰かが足止めしないと、みんな死ぬ羽目になる」

「だ、だったらシエスタも逃げないと……」


 シエスタはふっ、と笑う。


「ごめんなあ。無理ばっかさせちゃって。でもさ、オマエに会えて本当に良かったよ」


 ホープはそんな態度に、「今生(こんじょう)の別れみたいなこと言わないでよ……」とすこし涙目になる。


「ああ……分かってる。おれたちは死ぬには若すぎる」


 刹那、シエスタは自身に電流を流した。また、『悪魔の片鱗』で腕に魔力をまとわせる。

 魔力と電気が一同に会するとき、どれほどの奇跡が起こるのであろうか。

 しかし、どれだけの奇跡が起きたところで、シエスタがこの天使にかなう未来などない。


「愚かしい……」


 クイン・ウォーカーは電気と魔力を合体させたシエスタの必殺技を、「愚かしい」の一言で終わらせた。

 やがて、シエスタは叫ぶ。


「ディアボルス……サンダーボルト!!」


 その奇妙な電流は、クイン・ウォーカーに直撃した。

 クイン・ウォーカーの神々しい白い肌に、雷撃傷(らいげきしょう)が刻み込まれた。

 ただ、それだけだった。


「……なんだよ。ちょっとくらい効くと思ったんだけどなあ」

「充分だろう。貴様は神の子に爪痕を遺したのだぞ?」

「それが一体なにになるんで?」


 音速をも通り越した波動がシエスタに直撃する。少年の腕や脚がありえない方向に曲がり、地面へ力なく落ちていった。


「シエスタ……」


 ホープはシエスタの指示どおり、地上へ帰還した。だが、それでもなお、ホープの目から涙が止まらない。そしてシエスタの魔力を感じ取れなくなり、ついに彼女は泣き崩れた。


「……泣いてる場合じゃない」


 メリットが警鐘(けいしょう)を鳴らしに来た。


「シエスタが……シエスタが……!!」

「泣いてる場合じゃない!!」


 普段は物静かなメリットの怒号。ホープは唇を噛み締め、「……うん」とだけ言う。


「あのアルビノは死んでない。魔力が感じ取れなくなっただけ。それに……援軍もやってきた」

「やっべェな。マジで」

「ですな、ジョンさん」


 ロスト・エンジェルス最強の魔術師集団『セブン・スターズ』という肩書きは、果たしてこの混沌の中でも生き残るのか。

 ジョン・プレイヤーとゴールデンバットがふたりの後ろに立っている。

 まだ、終わらない。


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