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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第七幕 LTASの者たちよ、陰謀のその果てへ
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託す

「……ッ!!」

「ちぃったあ効いたかい。クソ天使」


 やはり金鷲の翼はなにかを起こしてくれる。正直付け入る隙がないと思っていたクイン・ウォーカーにも1定のダメージを与えられた。

 だが、こんなインチキ中のインチキを展開し続けられるほど、ルーシの体力と魔力がないのも事実であった。


(残り40秒動けりゃ良い。できるかぎり削って、クールやジョン・プレイヤーに託すしかねェ)


 ルーシの試算では行動可能時間は40秒。40秒の間になにができるか。


「よう。無駄にデカくて苦労しているみてーだな、木偶(でく)(ぼう)。ここらへんで元のサイズに戻ってみたらどうだい?」


「心配無用だ。私の力をもってすれば、な」

「自信過剰だなあ。身を滅ぼすぜ?」

「それはそっくり貴様へ返そう」


 ルーシは2~300メートルにも伸びた背中の翼を頼りに、クイン・ウォーカーの目線までたどり着く。たいていの者が背筋を凍らすのであろう高さに銀髪の幼女が立ったとき、猛反撃が始まる。


「アーク。魔術借りるぜ」


 アーク・ロイヤルの魔術は『相手の魔力の動きをずらす』というものだ。ルーシが発現させたのだから間違いない。

 縦にも横にも巨大化した金鷲の翼は、妖しい輝きを見せる。


「これが正しい積木崩しだ」


 瞬間、クイン・ウォーカーは卵の殻のごとく崩壊を始めた。


「貴様……私の魔力を歪ませたな?」

「そうだ。そんなにでけェと大災害みてーじゃねェか。所詮守護天使だっていうのによ」


 あられもなく崩壊していくクイン・ウォーカー。ルーシの脳内時計では、動ける時間はあと10秒。


「アウルム・アクイラ!!」


 またもや必殺技を叫ぶ。案外楽しいものだ。

 その楽しい雄叫びとともに、ルーシは『金鷲の雷鎚』を振るう。


「前回はすべてを再生した。では、今回はどうなるのかねえ……!!」


 雷がひとつ、地面に落下した。それに呼応するかのように、無数の雷鎚が降り注ぐ。

 中心に立つは銀髪碧眼の幼女。指揮者は最後の1秒まで天使を殺すつもりだ。


「ルーシ、大丈夫かな……」


 気弱な少女ホープとその彼氏シエスタ、メリットは地上でただ見上げるほかなかった。


「大丈夫なわけない。あのクソガキは事実上の死を承知の上で挑んでる。魔力がすっからかんになったら、クソガキはあの天使もどきに殺される」

「ふーん。なら助けてやっか」


 不安がるホープ、冷静だが内心恐怖を覚えているメリット、そして難しい話は理解しようともしないシエスタ。


「アイツのガラを確保できれば良いんだべ? メリット」

「あ、まあ」

「おっしゃ。LTASの中で、もっとも希少な電気制御魔術の真髄見せてやる」


 シエスタは地面に電磁砲を放つ。当然彼は空を舞う。

 その意味不明な行動にメリットは、「はあ?」といぶかる。だが、作戦を理解している者がいた。


「メリットさん、うちも行ってくる」


 押せば折れてしまうような身体つきをした少女ホープは、マリオネットのようにシエスタを拾った。

 やがてホープは、近くにある倒壊した建物に糸を引っ掛け、器用にルーシの元へ向かっていく。


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