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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第七幕 LTASの者たちよ、陰謀のその果てへ
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友人たちへのお見舞い

 あのあと、ルーシ・スターリングはどこへ向かっていたのか。

 その答えは、当の本人が明かしていた。


「よォ、メリット」


 MIH学園防衛戦で名誉の負傷を負った、陰気で刺青だらけの身体を持つ少女メリット。彼女はルーシを見て、首をひねる。


「なんだよ、愛想がねェな」

「私たちのことを利用したヤツに、愛想なんて振る舞う必要ある?」

「ねェかもしれないが、私たちは盟友だろう?」


 ルーシは一般患者たちもいる病室にて、チープな椅子にもたれる。


「盟友? 誰と誰が?」

「これがツンデレってヤツかい?」ニヤリと笑う。

「実力さえ及ぶのなら、アンタのことなんていますぐ殺したいけど」

「オマエに殺されちゃ寂しいぜ」


 そんな会話である。憎まれ口を叩き合いながらも、なんだかんだ互いを認めているのだ。その証拠に、ルーシはタバコを1本差し出した。


「……ここ禁煙」

「なんだよ、せっかく1ミリのメンソール買ってきてやったのに」

「普通、花とかを買ってくるべきでしょうに」

「まあ良いや。屋上行こうぜ」


 その銀髪碧眼の幼女は、どこからか飛び出ていた銀色の羽根をメリットの脚に当てる。


「動けるだろう?」

「……なんの魔術?」

「愛と平和の守護神なのでね」


 答えにはなっていないが、ルーシ相手にまともな返答を求めるほうがおかしい。

 メリットは立ち上がり、その幼女についていく。


「他に入院しているヤツは?」

「絶壁にホープ、あとアルビノ」

(ホープのことは名前で呼ぶのかよ。アイツ、案外愛され気質なのかもな)

「なるほど。相当な激戦だったと」

「ランク・セブン・スターズ様がなにもしてくれなかったもんだから」

「私は動いていたさ。分かるだろう?」

「ジョーキー候補が変死体になって見つかった。なるほど」


 ここで会話が途切れる。特段意味はない。

 そうなるとどうでも良いことを考えてしまう。

 ルーシの歩幅は狭い。当然だ。150センチほどの身長しかない幼女なのだから。

 ただ、そのルーシが歩く速度を落とさないとならないほど、メリットの歩幅も狭苦しい。この根暗は本当に17歳の女子高生か疑わしいくらいには。

 ただ、そういうマイペースなヤツのことをルーシはとても気に入る習性があるらしい。


「あ」


 そんなことを考えていたら、見慣れたヤツを眼中に捉えた。

 彼は病室から出てきていた。動ける程度には回復したのであろう。


「やあ、シエスタ」

「よう。メリットとどこ行くんだ?」

「タバコ吸いにだな」

「……オマエら、高校生やってる自覚あるの?」

「多少はあるさ。なあ?」

「あ、うん。ちょっとはね」


 刺青だらけの身体。右手の人差し指と中指の間には紙巻きタバコ。しかも片割れは10歳の幼女。


「……まあ、おれもイキってタトゥー入れたし、タバコも吸ってたからなんとも言えねェけどさあ」


 シエスタはメリットに視線を合わせようとするが、彼女はどこか遠くを見据えて目を見てくれない。


「……行こ。クソガキ」

「陽キャってヤツらが怖ェのに、墨入れるヤツなんているんだな」


 ルーシはそう言ってメリットをからかう。

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