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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第七幕 LTASの者たちよ、陰謀のその果てへ

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文民統制の完全崩壊(*)

 誰かが言った。悲鳴をあげているうちは大丈夫なのだと。


「へえ。意外と頑丈なようで」


 クールは考えた。悲鳴が途切れたとき、勝利が確定すると。


「そうだなあ……炎に強ェのかもしれねェな。あるいは焼かれても死なないような術式を仕組んだとか? うーむ。だったら殴打するっきゃないか」


 クール・レイノルズは単純な男だった。触れた瞬間、車が木端微塵になるほどの魔力を腕に注入して、ハンターへ1歩ずつ近づく。


「──いや、それこそがトラップってわけだ」


 ただ、この男は冷静でもあった。握りしめていた拳を開き、彼はいまだ絶叫するハンターへ告げる。


「なあ。海外旅行したことある?」

「ぎゃッ!! ぎゃッ!! うわああああッ!!」

「おれは何回かある。案外楽しいぜ? ロスト・エンジェルスから出てみるってのもよ」


 疑問を解消したくは、解決案を試すほかなし。

 だからクールは、すっかりひと気のなくなったノース・ロスト・エンジェルスの中心街を吹き飛ばすことにした。


「マフィアが街守っちゃこの国も終わりだぜ」


 魔力を持つ者からそれを強制的に奪い取り、凄まじい質量を持った攻撃を繰り出す帝王の魔法『カイザ・マギア』。

 なぜクールがその必殺技を使わなかったのかを考えた頃には、もはやすでにすべてが遅すぎた。

 魔力が集結する。幽霊のようなオーラが漂い、それらはクールの掌に収められた。


「まあ……実際おれがこの国のトップになるらしいんだけども」


 辟易した口調で、クール・レイノルズは『カイザ・マギア』をハンターに撃つ。まるで電磁砲の砲弾になったかのように、ハンターは空高く飛んでいった。

 あの幼女がこの国へ上陸してから、何度目かも分からないノース・ロスト・エンジェルスの危機は、膨大な負債を払う代わりに解決された。


「クールさん」


 そして、クールの背後に誰かが立っていた。


「なんだよ? セブン・スターズか?」

「ええ、そうです。まさかおれの魔力まで抜き取れるとは。逮捕のチャンスだったのにな……」


 クールは緩やかに振り返る。

 どこかで見たことのある、アジア系の青年。名前はたしか……。


「逮捕? 逆だよ、逆。これからはおれがオマエらの逮捕権限を握るんだ」

「……は?」


「ロスト・エンジェルス現大統領スリーファイブには決断力が足りず、対抗馬だったジョーキーは変死体になって発見された。と、なればだ。誰かがこの国を引っ張ってやんなきゃ駄目だよな?」


 クールはニヤリと笑い、魔力を抜かれて立っているのがやっとの彼の肩を叩く。


「名刺をつくったんだ。交換しておこうぜ。LTASのトップに立つ男の名刺なんて、そうそうもらえねェぞ?」

「クールさん、アンタまさか…………マフィアのくせして大統領になるつもりか!?」

「そうだよん」おどけやがった。


 クールは名刺を青年の胸ポケットに入れ、早く交換を済ませようと指を動かす。


「……いよいよLTASも終わるんだな。文民統制(シビリアン・コントロール)崩壊どころの騒ぎじゃない」

「いや?」


 クールはタバコを取り出し咥える。


「終わった時代を終わらせるんだよ。新たな世界のスタートだ」

バリイキってた癖に瞬殺されるハンターさん……

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