"無法者"クールVS"セブンスター"ハンター(*)
「ぐああァッ!?」
「クール、任せたぞ」
「あいよ!」
こんな小物にかまっている余裕はない。出せる戦力をすべて使うと宣言したのだから、それならばクールに任せておけば良いのだ。
ルーシは人面鳥のように腕が翼になったまま、空を駆け抜ける。
「憂いはすべて断っておくに限る……!!」
そして、クール・レイノルズとハンターの戦闘が始まる。
「若造! 遺言書は残しておいたか!? いまはクラウドサービスって便利なモンがあるからよォ、ちゃんとアップロードしておけよ? 遺書が焼かれても問題ねェようによォ!!」
「はッ!! 時代についていけないおっさんがこのおれに指図するのかよ? ダルいってんだ。その説教臭せェ態度がよ!!」
ハンターが食らったはずの傷口は、すっかり回復されていた。
ここでクールは、ルーシから渡された『セブン・スターズ』ハンターの情報が正しいことを知る。
「ああ、おれがおっさんか。そうだな。昔だったら、オマエすでに死んでるぜ?」
「なに言ってんだ? あの気味悪い幼女がいなくなって、こっちの勝ち筋はめちゃくちゃ伸びたと思ってるが?」
「甘めェよ、おめェ。ちょうど良い。この国最強の魔術師の片鱗、見せてやるよ」
瞬間、クールは炎と同化した。
そして、数十体の陽炎が出現したのである。
「あ? 数撃ちゃ当たるとでも?」
「違げェよ。オマエ、馬鹿過ぎやしねェか?」
陽炎そのものとなり、触れた瞬間身体が燃え散るのであろうクール・レイノルズとその分身たちは、瞬発的に行動を始める。
「炎は案外軽いんだぜ?」
四方八方から襲いかかるクール。されどハンターは彼を愚弄するように、意地の悪い笑みを浮かべる。
「火が怖くてハンターできるかよ!!」
炎そのものとなったのであれば、それらを凍らせてしまえば良い。ハンターはそんな単調な考えのもと、旧魔術──冷凍術式を陽炎へ放った。
だが。
「凍らねェ……!?」
「悪りィなあ。姉弟の言うように、オマエの哲学じゃおれたちの野望は理解できんさ」
陽炎から無数の炎の槍が放たれる。ハンターはたまらず『悪魔の片鱗』を使って魔力による攻撃を無効化しようとするものの、もはやすべてが遅すぎた。
「悪魔の片鱗、か。オマエさ、おれを舐めるのもたいがいにしろよ? 良いか?」
ついにハンターの胴体に途方もない炎の刃が突き刺さる。
「ぎゃあああああああ!!」
ハンターは倒れ込み、のたうち回る。そしてクールは焦げた匂いを漂わせるハンターへ1歩ずつ近づいていき、旧魔術によって腕を巨大化させる。
「さーて。科学探究の時間だ。セブン・スターズのハンターは、いったいどれほどの攻撃を喰らえば再生不能になるんでしょうか?」
その巨人のように肥大化した腕には、魔力と炎が高密度に絡まり合っている。
「や、めろ……」
「目上のヒトへの態度がそれかよ? 礼儀がなってねェな!?」
「やめろ!!」
「やめるわけねェだろうが。オマエ、馬鹿か?」
クール・レイノルズは地面を蹴り、空高く舞い上がる。
やがて、膨大な拳がハンターに降り掛かった。
「あががががっがががががっががあがががあがががあががあが!?」




