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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第七幕 LTASの者たちよ、陰謀のその果てへ

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スケベな幼なじみと半陰陽少年(*)

 途端に身体が熱くなる。熱病にでもうなされるように、アークの意識が飛びそうになった。


「……本当に中和できるの? これ」


 吐き気を覚えながら、アークは股間に慣れた感覚を覚える。それは徐々に大きくなり、やがて普段のサイズ──最大20センチ砲にもなる大砲が復活した。

 だが。


「うーむ。それ以外は変わんないなぁ」


 身体の全体的なフォルムは女体化したあのときからまるで変わっていない。バストも、ウェストも、ヒップも。中途半端に男性へと戻ってしまった。


「まあ、絶対戻れるとは言ってないしね」


 そんなこんなでアーク・ロイヤルはキャメルの元へ向かう。


「……お兄ちゃん!!」


 キャメルは感涙すら起こしていた。たまらず彼女はアークに抱きつく。彼の股間をもみながら。

(ぼく、キャメルのお兄ちゃんじゃないんだけども。そもそも、よくあれがついてるって判別できるなぁ)


 キャメル・レイノルズの欲深さの前にひれ伏すほかない。LTASは自由の国でもあるから、こんな幼なじみがいるのもありえる話だろう。


「キャメル……性依存症の治療受けたほうが良いよ?」


 されども、いつか言わねばキャメルのためにもならず。抱きつくのは良いが、股間を触ることもないだろうに。


「え……私が性依存症?」

「自覚なし?」


 ある種自覚がないからこうなるのであろう。夜な夜な部屋に忍び込んできて性器を咥える幼なじみが、それを犯罪だと自認しているかと言われれば、おそらくしていない。


「……だ、だって恋人同士なんだからそれくらいするでしょ? 脱ぎたてのパンツを嗅いだり、鯉みたいにキスしたり、エッチしたり……そ、そうよ。まだ私たちエッチしてないじゃない!! しましょうよ!!」


 アーク・ロイヤルの自宅は豪邸だ。20人を超える使用人を雇うほど。そのうち、たまたま玄関付近を通りかかった男性に性交渉の一方的な約束を聴かれたら、さしものアークも歯を食いしばってキャメルを殴りたくなる。

 その怒りをぐっとこらえ、アークはひとつずつ返事していく。


「…………まず、ぼくたちは恋人じゃない。まだデートも1回しかしてないからね。それにパンツを盗むのは犯罪だ。さすがに16歳だったら分かるよね? 鯉みたいにキス? どおりで寝起きのとき、誰かの唾液がべっとりついてるわけだ」


 幼児をあやしているのではなく、16歳に言い聞かせているのだから、この国の終焉はすでに始まっている。

 遠くでアロマの笑い声が聴こえる。アークはうつむき首を横に振り、どうしてこんな幼なじみを相手しなくてはならないのか本気で考える。

 そして、ひとつの諦観にも近い答えへたどり着く。


「……そんなにヤりたいんだったら……ヤる? もう2度とそんな妄言(もうげん)吐けないように、さ」


 現実を教えれば収まってくれるかもしれない。いままで捕食されるような危険を覚えていたから肉体関係はなかったが、こうなれば最終手段だ。


「ひゃ……あ、まだ、心の準備が……」


 アークはキャメルの腕を掴み、自室へと連れて行った。


 アロマは、「頓珍漢にも限度があるだろ」と突っ込むのだった。

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