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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇
146/290

ひとつの喜劇へ(*)

 当然、リヒトと彼の部下からすれば、このルーシ評はこの上ない褒め言葉だが、同時に当人が聞いたら心底腹を立てるだろう。ルーシ・スターリングとはそういう人間なのだ。

 自分の評価を理解しているが、その悪口にも近い品評を堂々と受け入れる胆力はない。


「よっしゃああ!! ぶち殺してやるぞ!!」


 これは強欲な者たちが始めた、最初は良かれと思って始めた世直しの果て。

 無法者と政治家、陰謀論者と成り上がりを狙う学生たち。全員が同じゴールを見て一斉に走り出し、やがてひとつの喜劇にたどり着く。


「チクショウ!! スターリング工業だ!! リヒトっていう幹部──!?」

「ぎゃあ!?」

「うおッ!?」

「おれの肩書きなんてどうでも良いんだよ!! 神経ガスよこせや!!」


 その成れの果ては、誰が回収するのであろうか。


「こちらリヒト。見っけたぜ!」

『やるなあ社長ォ!! その車両を持ってきてくれ!!』

「あたぼうよ!! ……あ? 誰オマエら」

「誰だって良いでしょ」

「良いわきゃねェ──うぉッ!?」


 その頃、ルーシ・スターリングは目を覚ましていた。


「……クール、リヒトの回収をしろ。ついで神経ガスの回収もだ」

「あ? リヒトってあの赤髪のガキだよな?」


 クール・レイノルズは怪訝そうな顔で、仰向けに寝そべるルーシに問いただす。


「……アイツは独断で動きすぎる。どうしても私に褒められたいんだろうな。だが、今回ばかりはヤクネタを通り越しているぞ?」

「だから、どういう話だよ?」

「MIH学園にいたヤツらは皆、自身の力量不足を嫌なくらい覚えたはずだだが、そこにいなかったヤツらがふたりいる。ソイツらはこの状況下でも自由に外を出歩けて、そのガキどもの狙いは……」


 あいにくの悪天候で、ルーシの顔にも雨が伝ってくる。戦闘が終わったばかりの路上は、すっかりひと気を失っていた。不気味なほどに。

 ルーシは無理やり自身を立ち上がらせ、その場にいたクールに命ずる。


「身体に意図的な拒絶反応を起こすことで、無理やり自身の魔力を跳ね上がらせるものだ。クール、いますぐアークとキャメルを止めろ!! 誰に入れ知恵されたか知らねェが……!!」

「落ち着け、姉弟。傷口が広がっちまう」


 クールは冷静そのものだ。それだけ彼も危険性を感じ取っているのだ。普段ならば陽気に冗談のひとつでも飛ばす男が、ルーシの傷跡を気にかけているのだから。


「クール、あの馬鹿ガキどもを止めに行くぞ。クイーンを潰すには、ありとあらゆる憂いを断っておかなきゃならねェ!!」

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