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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇
141/290

"幼女"ルーシVS"青年"エアーズ

「──てめッ!!」


 こうなれば自身の法則を変えるしかない。エアーズが仕掛けたフィルターを即座に突破できないからだ。

 ルーシは、何本か飛んだ歯とへし折れた鼻を再生させた。

 ただ、この間ルーシは攻撃ができないし、移動もできない。

 そうなれば当然、痛撃を食らう羽目になる。


「なあ、おれとクールさんどっちが強ェ!?」


 邪気だらけの笑顔を浮かべたエアーズは、自身の上に高射砲を出現させた。最前の攻撃はこれを使ったのだろう。

 そのため、黒鷲の翼を引っ込める。銀鷲のほうが防御力・攻撃力ともに勝っているからだ。

 銀の羽が防御壁となり、砲撃をなんとか退ける。ただその地震のような震動は、海に近い場所にてまさしく災害となり、津波が起きた。

 そして、ルーシも防御しきることができず、真っ逆さまに落下していく。


「チクショウ……おれは泳げねェんだぞ?」


 津波は軽微なもので、泳げればなんとか交わせそうではあった。

 だが、ルーシは泳げない。これも、前世からの条理だ。


「ならおれの勝ちだ! この勢いでクールさんもぶっ潰してやんよ!!」


「……あァ?」


 ルーシの眉間にしわが寄る。その幼女は波に落下しながら、叫ぶのだ。


「……てめェ、おれの()()なめるんじゃねェぞ!!」


 負け犬の遠吠えだった。これから溺死していく者が、自分に勝てたから姉弟であるクールに勝てるわけがない、と負け惜しみを抜かした。

 そして、この窮地を救うのはクールではない。ルーシには前世からの相棒がいるはずだ。世界でもっとも偉大な兄妹が。


「──うん、泳げないヒトには酷だね」


 アジア系の美少女。その顔立ちはありとあらゆる者を魅了し、美しき声も、焦げた茶髪も、その容姿に焦れない者などいない。

 タイペイは津波の中に溺れたルーシを追って、前世に比べればだいぶ軽くて小さい兄を拾い上げ、そのまま高台まで戻ってきた。


「げほッ!! だから海は嫌いなんだよ!!」

「海がなきゃ人間も地球も成り立たないでしょ。さて……」

「サシでケリつけるぞ? あのガキがクールに勝てると妄信したら、おれとアイツの信頼関係に傷がつく」

「なら、見てるよ」


 さも最初からタイペイが助けに来ることを分かっていたかのような口調だし、タイペイも助けて当然といった態度だ。

 その強固な信頼関係は、やはりこのふたりが兄妹であることを示している。ただ、血がつながっていないだけの兄妹なのだ。


「ああ、ひとつだけ手伝ってくれ」

「なに?」

「アイツにおれの声を聴こえるようにして、逆もできるようにしてくれ」

「りょーかい」


 ルーシとエアーズは無線機でもつけたかのように、離れたところでも会話ができるようになった。なんらかの魔術だ。


「おい、エアーズ。私はいまから全力でてめェを潰す。だからてめェも全力で来い!! そのほうがぶっ壊しやすいからよォ!!」

「上等だゴラ! ぶっ壊せるもんならぶっ壊してみやがれェ!!」


 ルーシは翼を頼りに空を飛ぶ。そして指を回して、羽根が無数に広がる頃、それらはエアーズを突き刺すためだけに動く。

 だが、エアーズがそれを囮だと気がついたとき、もはや防御態勢は取れなかった。


「効いたか!? クソ野郎ォ!!」


 黒紫に染まった虹彩と黒と紫が交じる翼。

 ルーシは単なる鈍器として翼を使い、エアーズの腹部に直撃させた。

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