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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇
138/290

さよなら、大統領候補ジョーキー氏

 悪魔の片鱗(へんりん)。魔力をより効率よく使うために考案された魔術理論である。

 ほとんどの人間は皮膚の外側に魔力を漂わせており、それを一点集中させることで様々な効果をもたらす。熟練者は腕や脚にまとわせてヒトを攻撃することで、砲撃でも食らわせたような大打撃を生み出すことすら可能だ。

 また、漂う魔力は瞑想をするように集中すれば、動きの輪郭が見えてくるともいうし、果てには自分の力量とかけ離れた魔術の攻撃を喰らわない──自身に触れた瞬間溶け去るように仕組むことも可能。

 それでは、その『悪魔の片鱗』を極めつつある者を見ていこう。


「てめェらに用はねェのに噛みつきやがって。私の寛大さを理解したいのか?」


 銀髪碧眼の美形幼女ルーシは、ある男を徹底的になぶっていた。

 

「ま、死は救済とも言うだろう?」 


 左腕はちぎれて、右脚はどこかに飛んでいき、今度は左耳を掴まれて引っこ抜かれようとしている。そんな場面だ。


「なあ、ジョーキー……!!」


 その幼女は目を見開き笑う。右の人差し指へ『悪魔の片鱗』を使って魔力をまとわせ、ルーシはジョーキーの目と耳を同時に奪おうとしていた。


「な、にが目的だ……?」

「その愉快な顔面を間近で見たくてね。だが、やはり殺意が抑えられなかった。この私を一瞬でも出し抜いた事実に腹が立って仕方ない」


 MIH学園で一斉蜂起が始まったのは、元をたどればとこの男にかなりの原因がある。彼はインターネットを中心に始まった、終末論及び陰謀論を唱える者たちの集まり『クーアノン』が、神のごとく祭り上げる人物だからだ。

 そして、ルーシは人間強化剤『SHA』の製造責任者だ。『クーアノン』が無視できない存在となった理由である。こちらも元をたどれば、軍事企業のトップであるジョーキーが発注してきたものだったりする。

 そのため、ジョーキーはルーシの顔に泥を塗った形となる。他国で何百万人死のうが関係ないが、LTASという市場を荒らされてしまえば、資本家として解決に乗り出すのは当然だろう。


「まぬ、けなマフィアめ……。政、治家どもを味方につけて良い気になっているよ、うだが……この国の支配者は私なんだぞ……?」

「違う。この国の王位継承者はオマエではない」


 凍りつくような冷たい口調であった。

 ルーシはジョーキーの目に指を突き刺す。じゅわっ、と高温の棒を水気のあるものへ差し込んだような音がして、

 

「ひぎいッ!!?」


 ジョーキーは悲鳴をあげる。


「ロスト・エンジェルスの支配人は、この国でもっとも高貴な血を引いている資本者だ」


 同時に耳も引きちぎる。これでは、保健室にある人体模型を悪ふざけで壊した悪童のようだ。


「ご自慢の兵隊さんは私ひとりでノセたわけだし、オマエもいよいよ終わりだな。ほら、これに署名しろよ。大統領選挙からの撤退と、新たな候補の任命だ」

「誰が、す、るか……」

「ああ、左利きだったのか。そりゃ字も書けないわな。こりゃ残念。なら、音声入力するかい?」


 ルーシはジョーキーを愚弄して面白がり、最後は50口径ハンドガンで頭を撃ち抜いて、彼をそのピエロのような人生から解放した。

 ルーシはニヤリと笑い、鉄の匂いで満ちているジョーキー邸から出ていった。

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