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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇
134/290

ホーミーのホーミーはホーミー(*)

 その頃、三白眼で絶壁貧乳のメントと、猫との獣娘(けものむすめ)パーラ、そして非常事態宣言が出る直前にメントの家へ遊びに来ていたリヒトの3人は、レースゲームをして盛り上がっていた。


「パーラちゃんって意外とゲーム下手だよな! うまそうな雰囲気あるのに!」

「うー……もう1回やろ! 勝つまでやればいつか勝てるんだよ!」

「ルーシみたいな言い方だな?」メントは苦笑いだ。

「だって負けたまま終わるのってつまんないじゃん! ゲーム好きだし!」

「まあ、この状況じゃ外出られねえしな……」


 当然バイトも休み。街にひと気はないだろう。

 そして困っているのはリヒトだ。アクセサリーを買ったと連絡すれば、家に来てくれと言われたので向かったら非常事態宣言。

 高校生男子を普通に自宅へ呼ぶほうも呼ぶほうだが、向かうほうも向かうほうなのかもしれない。


「……チッ、嫌なヤツからメッセージが来た」

「誰~?」

「根暗の不良趣味だよ」

「メリットちゃんもオンラインでゲームしたいのかな?」

「そんなわけな…………は?」


 メントはそのメッセージを受け取り、しばし固まった。


「どういうことだよ……ホープとMIH学園にいて、学園にとんでもない陰謀論者がいるから掃除を手伝ってほしい? 前頭葉溶けてるのか? アイツは」

「えっ!? なんでメリットちゃんとホープちゃんMIH学園にいるの!?」

「さっぱり分からん。まあ無視するか──」


 そのとき、リヒトが立ち上がる。肩をぐるぐる回し、準備運動のように身体を動かす。


「メントちゃんとパーラちゃんのダチなんだろ? だったらおれのホーミーだ。助けてやんねェと」


 この少年、愚かな生き物図鑑に載るほど愚直で、仲間への思いやりは誰よりも強い。


「いやまあ、ダチっちゃダチだし、ホープは心配だけどさ……」

「おれの最高のホーミー、ルーシがいま闘ってるんだ」

「へ?」パーラとメントは間抜けな声を漏らす。

「敵は破壊活動組織『クーアノン』。いま、LTASで厳しい外出制限が設けられてるのもヤツらの所為なんだよ。いまMIH学園にいる連中はヤツらのシンパだと思うし……情報筋によれば、いまあの学校へ超小型神経ガスを運んでるって話しもある」


 陽気で不真面目な少年の魅せる、真剣な眼差し。

 パーラは、珍しく他人を訝った。

 一方、メントのほうは……おい、なに乙女みたいな顔しているんだ?


「だから、行こう。ホーミーはクーアノンそのものをぶっ潰すだろうから、おれたちはMIH学園を防衛するんだ」


 リヒトは指の関節を鳴らしながら、玄関先へ向かっていってしまった。


「突拍子もない話だけど……どする? メントちゃん」

「……かっけえ」

「へ?」

「初めて会ったときから思ってた。やっぱリヒトかっけえ。あたしアイツのシンパになって、たくさん褒めてもらいたい……」


 パーラは凄まじく怪訝な顔になった。確かにパーラやメントの友だちも守ると言って、ルーシのことも信じているようだが、それを加味してもいま外へ出ることはよろしいことではない。それでも、メントはやる気だ。やる気満々だ。

 あんなにサバサバしていたメントが、ついに盲目へと成り下がってしまった瞬間であった。

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