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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇

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やってから後悔しろ

 タイペイは平然とした態度、声色でそう言い放った。


「……おれが人間的に強くねェだと?」

「うん。逆に強いと妄想してたの?」

「妄想ではなく事実だ」

「そう答える時点で弱いんだよ。いや、ルーシは嘘つくとき必ず目をあわせるからさ」


 この暴虐な無法者が駆け出しのときから、常に傍らにいた少女タイペイは、ルーシという人間の限界を知っていた。あの哀れな男娼がどんなに着飾ろうと、根は変わらず卑屈なのだ。


「それに……ルーシがこの世界にいるのって、なにも暴れるためだけじゃないじゃん」

「……あ?」


 ルーシはタイペイを睨む。だが、タイペイはまったく物怖じしない。


「おいおい……オマエはおれになにを求めているんだい? 神にでもなってほしいのかい?」

「それに準ずる立ち位置かな」


 一連の会話を聴いていたヘーラーは、すすり泣くことをやめ、今度は顔を青白くしながら口をパクパク震わせた。


「た、た、タイペイさん……。貴方正気ですか? 瘴気としか思えませんがっ!?」

「うん、貴方より断然まともな思考してると思ってる」

「た、確かに、ルーシさんがこの矛盾を直せればすべて問題は片付きますけれど……」

「ルーシに不可能があるとでも?」


 微塵たりともルーシを疑っていない口調であった。どのような苦難が訪れようと、ルーシならば解決してくれると信仰しているかのように。


「だいたい、ルーシ良く言ってたじゃん。いつか神とやらの首を獲り、全世界の宗教信者の目を覚まさせるってさぁ」

「まあな。だが、そううまくいかないものさ」

「いや、世の中の本質を付けば行ける」

「暴力ってか?」

「そう」

「限度があるだろう?」

「21世紀裏社会を征服する寸前まで行った男が、無茶だと思うとは感じないな」


 ルーシは葉巻を咥え、煙を吐き出す。

 そして最前から消えていた笑顔を灯し、答える。


「ああ……。そうかもな」


 タイペイは表情をあまり変えないが、このときばかりは無邪気な破顔(はがん)を見せた。


「さっすがー! んじゃ、計画発表と行こうか!」


 ひとりの人間、ふたりの天使は、世界の根底を覆す計画を共有し合ったのだった。


 *


「──つまり、クーアノンどもの頭領はジョーキーではないわけだ」

「そういうことだね~」

「しかし、表向きの最高指導者を消せば、ヤツらの動きは鈍化するはず。それを行うには──」

「ロスト・エンジェルス全域への『非常事態宣言』がベターじゃね?」

「だな。その間に愚民どもへ刷り込みを行おう。クール・レイノルズの存在を」

「うん。クールくんが大統領になるのが、一番良い選択肢だね~」


 ルーシとタイペイは当然ではあるが、話を完全に理解した。

 問題は途中からウイスキーを飲み始めたヘーラーだ。


「ポンコツ。誰が酒飲んで良いと言った?」

「だっておふたりの会話理解できないんですもん……。こんなことが可能ならば、私だって苦労しなかったんですよ? それに、うまく行くかだって分からないのに──」


 ルーシは首を横に振り、彼女へ告げる。


「やってから後悔したほうが良いだろ? 悔いを残すために、異世界へ来たわけじゃないんだ」

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