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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第六幕 新たなるMIH学園、新たなる後輩の野望劇
117/290

新学期の始まり

 メイド・イン・ヘブン学園。

 ある事件によって古びていた校舎は倒壊し、跡地に再びロスト・エンジェルスを象徴する魔術師学園が建つのは、もうすこし先の出来事らしい。

 なお、その崩壊に深く関わっている、というより、跡形も残らない容赦なき破壊を行った生徒たちは、反省するどころか旧校舎と新校舎を間違える始末だった。


「ルーちゃん、やっぱ校舎違うよ~!」

「リゾート暮らしで脳が沸騰していたらしい」


 銀髪碧眼の幼女ルーシと、金髪の獣娘(けものむすめ)パーラ。このふたり、罪悪感というものが通用しないらしく、警察に絞られても「記憶にない」、「誤解を与えて申し訳ない」しか言わず、連邦最高峰の弁護士たちが彼女たちを10日間で釈放させ、結局ルーシが賠償金を支払うことで決着を見た。


「でもさ、賠償金とかってどれくらいだったの?」

「2億メニーだな」

「え?」


 絶句するのも無理はない。日本円換算で1メニーは100円。それを2億となれば、200億円。どういう仕事をしていれば、どういう言い訳をすれば、親がそれを支払うというのか。


「思ったより安く済んで助かったよ」

「あの、私はどうやって償えば……」

「口調を改めるのは似合わんぜ。別に気にしちゃいないよ。どうせあぶく銭だし」


 ルーシは空を眺めながら、軽い調子でつぶやく。

 どうせ裏社会の汚れ仕事で手にしたカネだ。どうあがいてもたいした価値を見いだせるものではない。


「でも……2億……」

「私の父は実業家だぞ? KOOL(クール)・カンパニーって知っているだろ? あれの代表取締役だ。ロスト・エンジェルス……LTASでもっとも勢いのある会社だよ。心配いらない。近々、大統領選挙に出馬表明する予定らしいし」

「んー……。KOOL・カンパニーかぁ。たしかにクールさんなら2億メニーくらい出しそう」


 KOOL・カンパニー。ルーシの父……ということになっているナイスガイ『クール・レイノルズ』が代表取締役を務める会社。ルーシがトップのスターリング工業が持つ表社会の会社の株式をすべて譲渡し、合法的にカネを動かしている。

 もっとも、スターリング工業がクリーンな会社の株式を入手した方法は、当然マフィア的ではあるが。

 そして、ルーシはパーラの肩を叩き、流しのタクシーを拾う。


「行くぞ」

「って! ルーちゃん、ハイヒール履いてるでしょ!?」


 いつもどおりのテンションに戻った。パーラのような普通の子にも、KOOL社の威光は届いているらしい。


「悪いか?」

「別に悪くないけど、身長抜かれるの嫌だなあ……」

「私には成長期が控えているから、そう遠くない未来の話だろ。よし、行くか」


 黄色いタクシーに乗る。ルーシはいつもどおりの調子で、「MIH学園までお願いします」と告げておく。


「なあ」

「なに?」

「別に言いたくなきゃ言わなくて良いし、咎めるわけでもない。ただ、気になることがある。パーラはなんで、私に惚れたんだ?」


 なんてことのない世間話。法律上でもルーシの実年齢的にもなんら問題はない。

 ただ、いつだかリヒトがパーラを“ロリコン”呼ばわりしたことがすこし引っかかっているのかもしれない。


「一目惚れ!!」はにかみながら返す。

「そういう意味じゃないんだ。その……私って10歳だろ? まあ、同意があれば未成年同士の恋愛に犯罪性はないが……そこが不思議なんだよ」

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