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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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その人殺しは、子どものときのように

 ただ、溺れているわけにもいかない。

 アークとキャメルは天へ手をかざして魔力を放射し、無理やりその塊を分解させた。

 あの幼女は頭に血が昇ってやったのだろう。その証拠に、ルーシの魔力は感じ取れなくなった。


「これで良いでしょ!! さあ、私をなじって!!」

(うわあ。恥の概念捨てたよ。プライドより性欲のほうが強いんだ。なんだかなぁ)

「……ルーシが無事かだけ見てくる。良い子にしててね。ぼくの飲み物に媚薬入れないように」


 そんなわけで、気絶したルーシをアークは救いに行く。

 倒れるルーシ。銀鷲の羽が舞っていて、それが『クーアノン』の連中の脚を刺したのか、彼らはうめき声をあげながらもぞもぞ動いていた。


「ルーシ、起きて」


 手のひらにふれる。ちいさな幼女の手は、当然ながら柔らかい。

 そして手と手を取り合うということは、アークの魔力がルーシに分配されるわけだ。ルーシは魔力がないと意識を保てない。なにか事故にあったらしい。


「起きないなあ。寝てるフリでしょ、これ」


 アークは一計を案じた。


「離れたところでキャメルのお尻叩く光景見てて良いよ」

「マジか」


 ばっ、とルーシが目を覚ます。だからこのふたりはずるい。


「ああ、アイツらは避難しちまったか。ちょっと話しながら歩こうぜ」


 ルーシは何事もなかったように立ち上がり、指をくるくる回して、無数の羽を槍のごとく変形させて『クーアノン』の彼らのアキレス腱を切断した。

 この世のものとは思えない悲鳴とともに、ルーシは先に歩きだして、「早く来いよ。お姉ちゃんは放置プレイでも喜ぶぞ?」と冗談とも思えない話を口ずさむ。


「ゴールデンバットって野郎から話は聞いているんだろ? オマエとキャメルは」

「うん。学校へはあまり顔出せなくなるかもね」

「時間は有限だ。私はいま1分でも惜しい状態なんだよ。キャメルに彼女が思いつく限り下品な────、させたビデオくれ。結構見てみたい」

「脅す用に使うの?」

「使わねェよ。お姉ちゃんだぞ?」

「悪趣味だなあ。パーラが同じ目にあったらどうするの?」

「やった男のムスコをちぎって、ケツの穴に打ち込んだあと食レポさせるかな」

「だったら同じことそっくり返す。そんなもの撮らせるつもりは毛頭ない」

「意外だな」きょとんとしていた。

「あれでもガールフレンドです。中学生のとき()、付き合えたら死んでも良いと思ってました」


 そんな話を交わしつつ、キャメルを眼中に捉えたふたりは、拳をあわせる。


「またな。オマエは愉快なヤツだ。心の底からな」

「愉快さよりも常識がほしいね、君には」

「努力するよ」


 ルーシは携帯電話を取り出し、パーラへ電話をかける。


「なあ、悪かった。全部私が悪いことに気がついたから、全部解決しようと焦ったんだ」

『ルーちゃん無事なの!? あの大暴風の中で!?』

「もちろん。愛と平和の守護神だしな」

『なら良いよ! 私も海あんまり好きじゃないし、あのヒトたち怖かったし! あ、でも、他の子たちにはちゃんと謝ってね? みんなルーちゃんのこと好きだけど、それとこれは別だから!』

(みんなおれのことが好き? ……人殺しでも1度死んでしまえば、また子どものときのようにヒトから好かれるんだな)


 ルーシ・スターリング。前世における総殺人数24860人。21世紀初頭を代表する怪物。

 そんな少年が異世界転生したら、なぜか幼女になってしまい、不思議なことにいろんなヒトから好かれるようになってしまった。そんな話。


閲覧ありがとうございます。

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