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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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ガールフレンド

「懐かしいな……。まだ駆け出しだった頃の話じゃねェか。その話知っているの、もはやオマエだけだぞ? 他はみんな死んじまった」

「安らかに眠れ、我が友邦ってタトゥーまだ残ってるの?」

「ああ、背中にばっちり入っている」


 幼女と化したルーシは、唯一前世からタトゥーだけは引き継いでいた。これがなければ、そもそも前世を疑っていたかもしれない。


「キリル文字なんて読めないしね。ここのヒトたち」

「ああ、アホ天使に感謝だ。魂の器にすぎない肉体でも、どうせなら生きていた証明があったほうが良い」


 そんな会話を交わし、ルーシはパーラとメントへ電話をかける。


「やあ、元気?」

『……オマエ、パーラとの約束すっぽかしてその態度かよ』


 見た目通り口も悪い少女メントは、悪びれているように感じないルーシを咎める。


「私だって引け目感じているんだ。だからオマエにかけたんだぞ?」

『パーラ、すこし落ち込んでたぞ? 約束無視されたの、初めてだって』

「言い訳はしないよ。こちらが100パーセント悪い」

『嫌なヤツだなぁ、オマエって』

「オマエに嫌なヤツだと思われて損はないぞ、メント。パーラは出られるのか?」

『もう行ける。ちゃんと謝れよ?』

「了解、そちらへ向かう。超特急使って行くぞ」


 面倒見の良い姉御器質。メントはそういう人間だ。その一面ではキャメルと一致しており、それでも険悪なのが面白い話である。


「ガキっておもしれェな」

「私に言ってる?」

「違うよ。同級生のことだ」

「さっきの子? 普通の子なんじゃないの、あれが」

「どうだか。おれもオマエも小学校すら出ていねェからな」

「コンプレックスを感じるお方じゃないでしょ? ルーシは」

「いや……地続きに物事が運ばれているのなら……」

「あのとき、無法者にもならなかったと?」

「そういうことだ」

「くだらないね」


 タイペイの態度は一刀両断だった。ルーシの感傷を一太刀で打ち切ってしまったのだ。


「いまを大切にしなよ。正直、私がここにいられる時間は延長できないと思う。うまく行っても定期的に訪れることをできるかどうか。だからさ、過去なんて捨てていまを生きて。なんのためにロスト・エンジェルスへ来たのさ?」

「そりゃあ、暴れるためだろ」


 最初から最後までその主張は変わらない。裁かれるときまで、裁かれているときだって、決して意見は捻じ曲げない。


「だろうね。ルーシならそう答えるだろうし、そう答えるべきだよ」


 しかし、タイペイは意味深長だった。


「なにか裏がありそうな言い方だな──」


 タイペイは無言で左側を指差す。

 そこには、パーラとメント、なぜかリヒトがいた。

 その髪を金色に染めている猫との獣娘は、ルーシを見て手を振る。


「ルーちゃん! 久しぶり!!」


 怒っている様子はなかった。悲しげな表情も読み取れない。いつもどおり楽しそうな顔色だ。


「ああ、久しぶり。パーラ」


 駆け寄ってくるパーラをルーシは抱きしめ、ふたりはこの関係が永久に続くよう祈る。神も居ないこの国で。

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