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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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風呂屋に沈めないと分からなそうなお姉ちゃん

 そう思ったルーシ。表情こそ笑顔だが、草食動物を食い散らかすときのような目つきのキャメル。

 こんなヤツの隣を歩きたくない。こちらまでアバズレビッチだと思われる。

 そういう拒絶反応が、ルーシの頬に汗となって伝った。


「……どうしたの? 体調が悪そうだわ」


 キャメルは自分がなにも間違っていないかのように、ルーシを心配してくる。そのマイクロビキニが、この世界に存在しない胸を見せびらかす需要なき格好が、いったいどうやってアークに届くと考えたか。


「…………アークに連絡しておきますね。その気合が入っている水着の写真、彼に送りますよ」

(この嫌味で気がついてくれ。ある意味純情でやっているヤツに直接、『似合っていないですよ、お姉ちゃん~』なんて笑顔で言えねェよ)

「そ、そう? 似合ってるかしら? だったらアークに写真送ってあげて」

(なに額面通り捉えているんだよ!? なんでオマエはそんなに純粋なんだ!? 風呂屋に沈めねェと分からねェのか!?)


 照れているキャメルに微笑みを浮かべながら写真を撮り、ルーシは彼女の意中アーク・ロイヤルにメッセージを送る。


《海行くぞ》


 メッセージが返ってくる。ちなみに写真も送信済みだ。


〈キャメルってずるいよね〉

《行くのか?》

〈行かなきゃ君が困るでしょ?〉

《眠たいヤツで助かる》

〈サウスのほうでしょ? ゲーム大会終わったから先に待機してる〉

《了解》


 この間、ルーシは何度かキャメルの表情を横目で観察していた。もうすこし楽しそうな顔すれば良いのに、としか思えない、狩人がそこにいた。


「アーク、いまサウス・ロスト・エンジェルスにいるらしいです。先に向かっていると」

「良かったわ。そう、本当に。パーラと……あの女と他ふたりよね?」


 恋敵ことメントの名前を伏せやがった。ここは同調し、「そうです」と返事する。


「正直、私がそこにいても仕方ないわね。まあ、会ってしまったら、たまたまってことにしておきましょう。……そう、こっちは幼なじみなのよ」


 見せつけたいのはよく分かるが、それをルーシに伝えてしまうところが、まだ子どもっぽくてかわいいところかもしれない。そんなことをぼんやり浮かべて、「水着、貸してください。あまり露出しないものが良いです」と目的に移る。


「露出はすくないほうが良いかしら?」

「そうですね」

「本当に?」

「本当に」


 2回も念押しする理由など聞きたくもない。


「なら……これね」水着入れを渡してきた。

「ありがとうございます。では、ごきげんよう」


 ルーシは頭を下げ、この監視社会の果てから確実に出ていく。

 離れたところでタバコを取り出し、悩ましい溜め息をついて、火をつけようとした瞬間だった。


「相変わらず赤マル吸ってるんだね」

「よォ、タイペイ」


 そのタバコに、どこからか現れたタイペイが火を灯す。


「私とリヒトくん、ルーシとその友だちふたりだよね?」

「ああ。不満か?」

「ルーシ泳げないから、昔仕事で溺れてたのを思い出す。あのとき私がいなかったら、ルーシ溺死してたんだよ?」

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