表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
105/290

存在が公然わいせつ

「しっかりしないヤツには相応の態度なんだよ、わた──おれは。ごほん。さて、おれはキャメルって姉貴分に水着借りてくる」

「ひとりじゃ寂しいぜ」

「すぐ戻ってくる。おれだって……私だって、ひとりは寂しいよ」


 軽い冗談が地雷に触れてしまったかもしれない、と申し訳無さそうな顔になったリヒト。タイペイと離れ離れになって、リヒトたちも途中でいなくなり、ルーシなりに思うことは多かったはずだ。


「でも、もういなくならねェよ、社長」

「分かっているさ。愉快なリヒト」


 背中越しから表情は伝わってこなかった。


 *


「はい、そうです。メントとパーラ、そして他の友だちと海へ行きたくて、水着を貸していただけないかと」


 この見た目では運転などできない。捕まったら色々と面倒だ。だからルーシは、タクシーでキャメルの邸宅へ向かっていた。


「……他のヒトたちが信用できないと? 遠くから見届ける? んー……ならアークを誘ってみたらどうですか? 私も手伝いますよ」


 当然といえば当然かもしれない。学校内で黒い噂がはびこるルーシを、キャメルのような姉御肌の者が心配しないはずがない。彼女は着いていって監視すると言ってきた。

 そのため、ルーシはカウンターとしてアークの名を出す。

 キャメルがしばし押し黙る。だが、断念するだろうと高をくくっていたルーシに反撃を繰り出す。


「……アークとデートする? お姉ちゃん正気ですか?」

『正気よ。子どもの頃、ふたりだけで遊んだもの。親の目を盗んでね。いまになってそれをやるのも良いじゃない』


 高校生になった現在、それをやる理由がなにひとつとして思い浮かばないルーシは、結局自身が小卒未満の身であることを痛感させられた。

 ……もっとも、これは彼女の杜撰な言い訳だが。


「そうですか……。だったらアークに連絡取ってみますね。もうすぐそちらへ着くので、電話切ります。ごきげんよう」

「お嬢ちゃん、なんか苦労絶えなさそうな顔してるねえ」


 タクシーの運転手がそんなことを言ってきた。


「苦労に好かれるのは、いまから会うヒトのボーイフレンドですよ……」


 運転手は色々察したのか、「ははッ……」と乾いた笑い声を飛ばすだけだった。

 それから2分後。キャメルの家についた。


「カードで」

「ほい、72メニーです」


 リーダーにクレジットカードを挿し、ルーシは会計を済ませて広大な家の庭を歩いていく。


「来たのは2回目だが、クールが逃げたくなるのもよく分かるぜ」


 あらゆる場所にカメラとヒトが配置されている。警備員はあからさまだが、庭師やメイド、執事らしき人物たちも、戦闘慣れしていそうだ。すなわち、窮屈な雰囲気が豪邸を包んでいる。あの自由奔放な人間にはまったく似合わない場所である。

 そんななか、キャメルがいた。すでに水着を着ており、上にパーカーを羽織っている。


(どう考えても寒みィだろその格好!? 具体的にどの部分をカバーしているんだよ!? 存在が公然わいせつだろうが!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ